当院で経験した腎移植後graft lossにおけるDWFG群と透析導入群の比較検討

【目的】当院で経験した腎移植後graft lossした症例に対し、それに影響した因子について検討した。【方法】当院で腎移植を実施された患者のうち、2010年以降にgraft lossに至った44例を対象とした。そのうちdeath with function graft(DWFG)群と、透析導入群に分け、影響を与えた因子について比較検討を行った。【結果】DWFG群は16例(36.4%)、透析導入群は28例(63.6%)であった。DWFG群の直接死因としては、感染症(8例, 50.0%)、悪性腫瘍(5例, 31.3%)、心血管系イベント(1例, 6.3%)の順に多かったが、感染症に影響を与えた因子...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s396_2
Main Authors 松尾, 朋博, 土山, 彩華, 迎, 祐太, 倉田, 博基, 荒木, 杏平, 大庭, 康司郎, 望月, 保志, 中村, 裕一郎, 光成, 健輔, 原田, 淳樹, 中西, 裕美, 西野, 友哉, 今村, 亮一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s396_2

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Summary:【目的】当院で経験した腎移植後graft lossした症例に対し、それに影響した因子について検討した。【方法】当院で腎移植を実施された患者のうち、2010年以降にgraft lossに至った44例を対象とした。そのうちdeath with function graft(DWFG)群と、透析導入群に分け、影響を与えた因子について比較検討を行った。【結果】DWFG群は16例(36.4%)、透析導入群は28例(63.6%)であった。DWFG群の直接死因としては、感染症(8例, 50.0%)、悪性腫瘍(5例, 31.3%)、心血管系イベント(1例, 6.3%)の順に多かったが、感染症に影響を与えた因子として、8例中4例が免疫抑制療法下の化学療法であった。両群においてドナーの年齢、献腎/生体腎、移植前のDSAの有無、レシピエントの移植時の年齢や機能喪失時の年齢、移植前の透析歴、生着期間、拒絶反応、感染症の罹患において有意差は認めなかったものの、単変量解析において免疫抑制剤MMFの使用[OR=0.17, 95%CI:0.04-0.69, p=0.0132]とAZの使用[OR=11.5, 95%CI:1.19-111.51, p=0.0351]、移植後の悪性腫瘍の既往[OR=19.17, 95%CI:3.28-111.87, p=0.001] で有意差を認めた。多変量解析にて悪性腫瘍の既往がDWFGの独立した因子であった[OR=10.86, 95%CI:1.48-79.87, p=0.0192]。【結論】腎移植後graft lossの症例において、DWFG群と透析導入群の比較検討した結果、悪性腫瘍の既往の有無がDWFG群において有意な因子であった。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s396_2