肺移植レシピエントにおける新型コロナウイルス感染症:5類移行後の現状
【背景】免疫抑制療法を行う臓器移植後は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化しやすく、特に肺移植後は他の臓器移植後と比較して高度の免疫抑制療法を行うため、COVID-19の重症化率や致死率が高い。本邦の固形臓器移植後に発症したCOVID-19の集計1632例(Am J Transplant 2024)のなかで肺移植後患者は25例のみであり、5類移行後の現状は明らかではない。【方法】当院で肺移植を施行し2020年1月以降も外来観察中の151例のうち、2024年3月末までにCOVID-19に罹患した45例(うち3例は2回罹患)について検討した。【結果】男性19例、女性26例で生体肺移...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s161_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s161_1 |
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Summary: | 【背景】免疫抑制療法を行う臓器移植後は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化しやすく、特に肺移植後は他の臓器移植後と比較して高度の免疫抑制療法を行うため、COVID-19の重症化率や致死率が高い。本邦の固形臓器移植後に発症したCOVID-19の集計1632例(Am J Transplant 2024)のなかで肺移植後患者は25例のみであり、5類移行後の現状は明らかではない。【方法】当院で肺移植を施行し2020年1月以降も外来観察中の151例のうち、2024年3月末までにCOVID-19に罹患した45例(うち3例は2回罹患)について検討した。【結果】男性19例、女性26例で生体肺移植後19例、脳死肺移植後26例であった。30例(66.7%)でワクチン接種歴があった。発症時期は第3波(β株)が1例、第5波(δ株)が1例、第6波(Omicron株(BA.1/2))が1例、第7波(Omicron株(BA.5))が10例、第8波(Omicron株(BA.5))が12例、5類移行後(2023/5/8-)が23例と、5類移行後が47.9%であった。対症療法は6例のみで、その他は抗ウイルス薬などによる治療が行われた。少なくとも21例で代謝拮抗薬の休薬を行った。罹患後1年以内に5例(10.4%)が死亡し、その発症時期は第7波が2例、第8波が1例、5類移行後が2例であった。死亡例はCOVID-19重症肺炎や侵襲型肺アスペルギルス症・間質性肺炎急性増悪・細菌性肺炎などを合併した。【結論】肺移植レシピエントは5類移行後もCOVID-19のリスクが高く、早期診断と適切な介入が必要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s161_1 |