一般住民運動器検診(TOEI study)でみた10年間の脊柱アライメントの変化と腰痛

TOEI studyは,愛知県東栄町で行われる地域住民の運動器コホート研究で,2012年から2年ごとに住民検診の一環として実施されている.X線撮影や骨密度測定,運動機能評価などを行いデータを収集している.自治体や医療施設が協力していること,10年以上にわたる縦断データの蓄積が可能となっている点が特徴である.これまでの多くの研究が横断的な検討に留まる中,TOEI studyは縦断研究の強みを活かし,経時的な変化や因果関係の解明に取り組んでいる.本報告では,縦断研究により加齢に伴う脊椎骨盤アライメントの変化が男性より女性で早期に認められることが判明した.また,腰痛の重症化は脊柱骨盤パラメータや運動...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 16; no. 6; pp. 819 - 825
Main Authors 吉田, 剛, 有馬, 秀幸, 長谷川, 智彦, 大和, 雄, 井出, 浩一郎, 坂野, 友啓, 山田, 智裕, 大江, 慎, 黒須, 健太, 村上, 悠介, 松山, 幸弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.06.2025
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2025-3020

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Summary:TOEI studyは,愛知県東栄町で行われる地域住民の運動器コホート研究で,2012年から2年ごとに住民検診の一環として実施されている.X線撮影や骨密度測定,運動機能評価などを行いデータを収集している.自治体や医療施設が協力していること,10年以上にわたる縦断データの蓄積が可能となっている点が特徴である.これまでの多くの研究が横断的な検討に留まる中,TOEI studyは縦断研究の強みを活かし,経時的な変化や因果関係の解明に取り組んでいる.本報告では,縦断研究により加齢に伴う脊椎骨盤アライメントの変化が男性より女性で早期に認められることが判明した.また,腰痛の重症化は脊柱骨盤パラメータや運動機能低下と関連があること,脊柱アライメントの後弯化は上位腰椎で多く見られ,仙骨傾斜角が小さいことやInflection pointが遠位にあることが危険因子であることがわかった.今後も長期的なデータに基づく新たな知見の蓄積を通じて,腰痛や脊柱アライメント悪化の予防・治療に貢献することを目指していく.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2025-3020