長崎県の移植医療推進に向けた取り組み
長崎県は、人口比でみると比較的臓器提供の多い県である。これは、県と医療機関との連携によるところが大きい。行政の活動として、県庁等のグリーンライトアップを全国に先駆けて実施した。また、離島を結ぶ飛行機にグリーンリボンを掲出し、乗務員がバッジをつけ、機内放送を行う啓発活動も行った。さらに、委員を県知事が委嘱して、移植医療推進協議会や移植情報担当者協議会を開催している。一方、医療機関においては、2019年より日本臓器移植ネットワークの連携体制構築事業に採択され、長崎大学病院を基幹施設、5つの地域中核病院を連携施設として、臓器提供に関する情報共有を行っている。また、長崎大学病院では、患者担当医の負担軽...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s224_2 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Summary: | 長崎県は、人口比でみると比較的臓器提供の多い県である。これは、県と医療機関との連携によるところが大きい。行政の活動として、県庁等のグリーンライトアップを全国に先駆けて実施した。また、離島を結ぶ飛行機にグリーンリボンを掲出し、乗務員がバッジをつけ、機内放送を行う啓発活動も行った。さらに、委員を県知事が委嘱して、移植医療推進協議会や移植情報担当者協議会を開催している。一方、医療機関においては、2019年より日本臓器移植ネットワークの連携体制構築事業に採択され、長崎大学病院を基幹施設、5つの地域中核病院を連携施設として、臓器提供に関する情報共有を行っている。また、長崎大学病院では、患者担当医の負担軽減を目的として、2019年に脳死下臓器提供支援チームを設置した。支援チームには、救急科等の臓器提供側の医師に加えて、移植側の医師も加わることが特徴である。支援チームの主な業務は、臓器提供に必要な検査のオーダーやドナーの全身管理等であり、これにより担当医が患者への説明等、担当医でなければ対応できない業務に専念できるように配慮する。支援チーム設置後、現在までに8例の臓器提供を行った。臓器提供は、不幸にして救命できなかった患者やその家族の最期の迎え方の一つである。患者や家族の尊い意思をかなえるため、今後も「普通の医療」として臓器提供をおこなっていきたい。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s224_2 |