先天性角化不全症に対する生体肺移植3例の経験 ―肺肝同時移植を含めてー
先天性角化不全症はテロメア修復異常に伴い,造血機能,肺,肝など全身臓器に障害を来す疾患である.生体肺移植を行った3例を提示する.(症例1)男児.6歳時に再生不良性貧血に対し骨髄移植施行.13歳時に労作時呼吸困難が出現,肺線維症を伴う高度の肺動静脈瘻を認め,肺移植適応と判断した.呼吸不全が急速に進行し生体肺移植施行,術後経過は良好であった. 5年後に門脈圧亢進症による食道静脈瘤破裂を来たし,肝線維化を認めた.肝移植適応評価を行ったが,全身状態悪化のため失った.(症例2)女児.3歳時に再生不良性貧血に対し骨髄移植施行.6歳時に脳膿瘍を発症,多発肺動静脈瘻と診断した.生体肺移植を計画,直前に呼吸状態...
Saved in:
Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s296_1 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 先天性角化不全症はテロメア修復異常に伴い,造血機能,肺,肝など全身臓器に障害を来す疾患である.生体肺移植を行った3例を提示する.(症例1)男児.6歳時に再生不良性貧血に対し骨髄移植施行.13歳時に労作時呼吸困難が出現,肺線維症を伴う高度の肺動静脈瘻を認め,肺移植適応と判断した.呼吸不全が急速に進行し生体肺移植施行,術後経過は良好であった. 5年後に門脈圧亢進症による食道静脈瘤破裂を来たし,肝線維化を認めた.肝移植適応評価を行ったが,全身状態悪化のため失った.(症例2)女児.3歳時に再生不良性貧血に対し骨髄移植施行.6歳時に脳膿瘍を発症,多発肺動静脈瘻と診断した.生体肺移植を計画,直前に呼吸状態が急激に悪化し,緊急生体肺移植を施行した.9歳時から肝機能障害・胸腹水・肝脾腫を生じ,他院にて生体肝移植が行われた.(症例3)男児.4歳時に再生不良性貧血に対し骨髄移植施行.8歳時に著明な低酸素血症を来たし,肺移植適応評価を行った.高度の多発肺動静脈瘻,門脈圧亢進症による肝障害と診断した.肺肝移植が唯一の救命手段と判断,十分な議論と家族への説明のもと,生体肺肝同時移植を施行した.術後経過良好で退院,5ヶ月後も健在である.【結語】進行する呼吸不全に対して生体肺移植が選択されるが,肝機能悪化も念頭に置いた移植前評価,移植後フォローが肝要である. |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s296_1 |