両側脳死肺移植後のサイトメガロウイルス感染症の予防にレテルモビルが有効だった一例
臓器移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染症の予防にレテルモビル(LTV) が保険適用となった。LTVはガンシクロビル(GCV)やバルガンシクロビル(VGCV)と比べ、腎毒性や骨髄抑制等の副作用が少ないことが知られている。両側脳死肺移植後のCMV感染症に対してLTVの予防投与が有効だった一例を経験したため報告する。症例は36歳、男性。肺静脈閉塞症による肺高血圧症に対して両側脳死肺移植を施行した。ドナー(+)/レシピエント(-)のCMVミスマッチ症例で、術後からGCV・VGCVや免疫グロブリンの投与を行った。術後54日目までCMV-DNAは65~850 IU/mlを推移したが、68日目より約...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s373_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s373_3 |
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Summary: | 臓器移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染症の予防にレテルモビル(LTV) が保険適用となった。LTVはガンシクロビル(GCV)やバルガンシクロビル(VGCV)と比べ、腎毒性や骨髄抑制等の副作用が少ないことが知られている。両側脳死肺移植後のCMV感染症に対してLTVの予防投与が有効だった一例を経験したため報告する。症例は36歳、男性。肺静脈閉塞症による肺高血圧症に対して両側脳死肺移植を施行した。ドナー(+)/レシピエント(-)のCMVミスマッチ症例で、術後からGCV・VGCVや免疫グロブリンの投与を行った。術後54日目までCMV-DNAは65~850 IU/mlを推移したが、68日目より約2週間の陰性化を確認したためGCVの予防投与に移行した。しかし、72日目に再度CMV-DNAの陽転化とVGCVの副作用による好中球減少をきたした。初期治療量の抗CMV薬や免疫グロブリンを投与し免疫抑制剤を減量したが、93日目にはCMV-DNA 2360 IU/mlにまで上昇したため、漸減していたプレドニゾロンは慢性期維持量(0.1mg/kg/day)まで減量し、ミコフェノール酸モフェチルも中止した。術後121日目よりCMV-DNAが陰転化したためLTVの予防投与を開始し、約4週間の陰性を確認後、術後147日目に退院となった。その他の合併症を認めず3カ月間CMV-DNA陰性を継続している。肺移植後は6~12カ月の抗CMV薬の予防投与がガイドラインで推奨されているが、VGCVより副作用の少ないLTVは有効な選択肢になる可能性がある。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s373_3 |