カイコ成虫生存期間の分布に関する系統間差異

東京農工大学蚕学研究室で維持されている互いに血縁関係がないとされる22系統を用い,成虫生存期間並びに日別死亡個体数の分布を調査した。その結果,成虫の平均生存期間は2.14~12.42日と品種間に大きな差異が認められた。各地域種には生存日数に違いが見られ,日本種系統の成虫平均生存期間は中国種およびヨーロッパ種と比べ1日以上短くなっていた。また,調査した系統を日別の生存期間の頻度分布より,明確なピークを示すもの,明確なピークを示さないもの,鋭利なピークを示すものの3つに分類することができた。特に日本種系統においては調査した5系統全てに明確なピークが認められた。これらは系統ごとに特異的であり,遺伝性...

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Published in蚕糸・昆虫バイオテック Vol. 79; no. 1; pp. 1_53 - 1_59
Main Authors 村上, 聡, 岩松, 琢磨, 北村, 優, 北澤, 裕太, 片田, 美幸, 藤森, 遼, 横山, 岳, 蜷木, 理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 2009
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Summary:東京農工大学蚕学研究室で維持されている互いに血縁関係がないとされる22系統を用い,成虫生存期間並びに日別死亡個体数の分布を調査した。その結果,成虫の平均生存期間は2.14~12.42日と品種間に大きな差異が認められた。各地域種には生存日数に違いが見られ,日本種系統の成虫平均生存期間は中国種およびヨーロッパ種と比べ1日以上短くなっていた。また,調査した系統を日別の生存期間の頻度分布より,明確なピークを示すもの,明確なピークを示さないもの,鋭利なピークを示すものの3つに分類することができた。特に日本種系統においては調査した5系統全てに明確なピークが認められた。これらは系統ごとに特異的であり,遺伝性をもつ傾向が見られたことから,成虫の生存期間に主働的役割を果たす遺伝子の存在が示唆された。
ISSN:1881-0551
1884-7943
DOI:10.11416/konchubiotec.79.1_53