Preformed DSA陽性腎移植への挑戦 ~最適な治療戦略を目指して

ドナー特異的抗HLA抗体(DSA)陽性のレシピエントに対する腎移植は、術後に抗体関連型拒絶反応を発生するリスクが高いため、術前に抗体の除去や産生抑制を目的とした脱感作療法が行われる。GB0998 studyでは、二重濾過血漿交換と4g/kgの免疫グロブリン静注療法(IVIG)を用いた脱感作療法が行われ、その結果フローサイトメトリークロスマッチ(FCMX)-Tの陰性化率が60.3%、FXCM-Bの陰性化率が66.7%という高い効果が報告された。この結果により2019年に脱感作療法における免疫グロブリン製剤の使用が承認された。対象は「抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作療法」であり、つまりEN...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s187_1
Main Authors 角田, 洋一, 余西, 洋明, 野々村, 祝夫, 松村, 聡一, 比嘉, 洋子, 田中, 亮, 猪阪, 善隆, 深江, 彰太, 中澤, 成晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s187_1

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Summary:ドナー特異的抗HLA抗体(DSA)陽性のレシピエントに対する腎移植は、術後に抗体関連型拒絶反応を発生するリスクが高いため、術前に抗体の除去や産生抑制を目的とした脱感作療法が行われる。GB0998 studyでは、二重濾過血漿交換と4g/kgの免疫グロブリン静注療法(IVIG)を用いた脱感作療法が行われ、その結果フローサイトメトリークロスマッチ(FCMX)-Tの陰性化率が60.3%、FXCM-Bの陰性化率が66.7%という高い効果が報告された。この結果により2019年に脱感作療法における免疫グロブリン製剤の使用が承認された。対象は「抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作療法」であり、つまりENGAGE Category 1、2,3に対して適用される。Category 3に対しては、ENGAGE IIのDelphi Review Groupの77%が血漿交換やIVIGを検討することに同意しているが、具体的なプトロコールや投与量については言及されていない。また、2023年12月にリツキシマブが「臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制および治療」に対する適応追加が承認され、Category 1,2,3だけでなくCategory 4aにも使用可能となった。免疫学的リスクを評価することで、個々の患者に最適なプロトコールの選択が可能になると期待されるが、現時点ではコンセンサスが得られたものはない。本シンポジウムではDAS陽性腎移植に対する当科の治療戦略と成績について発表し、今後の展望について考察する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s187_1