東日本地域における組織提供の現状と課題

【目的】近年の組織提供に係るドナー情報を振り返ることで組織提供の現状把握と課題を検討する。【方法】2020-2023年度のドナー情報を後ろ向きに分析し組織提供の推移を確認した。【結果】対象期間で全130例のドナー情報を受信し、組織提供に至った症例は24例(18.5%),組織別提供件数は皮膚17例,心臓弁・血管6例,膵島4例,骨4例だった。症例の内訳は心停止後症例が16件,脳死症例が8件だった。提供に至らなかった症例は106例(81.5%)あり,医学的適応外43例,家族辞退27例,バンク都合辞退25例(対応休止中・別症例対応中18例、対応地域外7例),追加連絡無し症例8例,検視優先3例の内訳とな...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s347_3
Main Authors 小野, 稔, 田村, 純人, 三瓶, 祐次, 小前, 兵衛, 前田, 浩志, 赤松, 延久, 山内, 治雄, 長谷川, 潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s347_3

Cover

More Information
Summary:【目的】近年の組織提供に係るドナー情報を振り返ることで組織提供の現状把握と課題を検討する。【方法】2020-2023年度のドナー情報を後ろ向きに分析し組織提供の推移を確認した。【結果】対象期間で全130例のドナー情報を受信し、組織提供に至った症例は24例(18.5%),組織別提供件数は皮膚17例,心臓弁・血管6例,膵島4例,骨4例だった。症例の内訳は心停止後症例が16件,脳死症例が8件だった。提供に至らなかった症例は106例(81.5%)あり,医学的適応外43例,家族辞退27例,バンク都合辞退25例(対応休止中・別症例対応中18例、対応地域外7例),追加連絡無し症例8例,検視優先3例の内訳となった。また,家族辞退27例における辞退の段階では,組織移植Co.説明前22例(担当医確認後14例,臓器移植Co.確認後8例),組織移植Co.説明後が5例であった。【考察】全ドナー情報数に対し,組織提供に至る割合は2割弱だが,脳死・心停止後いずれの場合でも症例が発生している。至らなかった症例では,医学的適応外の次に家族辞退例が多く,特に組織移植Co.説明前に辞退する例(81.5%)が多い。組織提供の社会的認知向上を目指す啓発活動はもとより,家族負担の観点から臓器と組織提供の説明のタイミングの調整を改善していくことが望ましいと考えられた。また,組織バンク側の都合による影響も明らかとなったため,多くのドナーの意思に応えるため,組織バンクの体制整備によるさらなる発展を目指す必要がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s347_3