後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF)後閉創時無脈性電気活動(PEA)となった4例

はじめに:我々は酷似したパターンの術中急変(閉創時に急激な高度低血圧を認め,蘇生処置)を起こした4症例を短期間に経験したため報告する.症例:代表症例は79歳女性.L3辷り症に対しL3/4後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF)施行した.PLIFは問題なく完了した.閉創中,創部ドレーンバッグに吸引チューブをつなげ術野血液を吸引し,筋膜閉創直後に高度低血圧を認めたため,仰臥位に戻しCPR開始した.すぐに蘇生され,側臥位で皮下縫合行い手術を完了し,ICUへ入室した.バイタル,意識ともに問題なく経過し,翌日ICU退室した.その後の入院経過も問題なく,術後12日で後遺症なく独歩退院した.他の3症例も1,2椎...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 13; no. 4; pp. 706 - 711
Main Authors 松原, 祐二, 柴田, 隆太郎, 両角, 正義, 村本, 明生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.04.2022
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2022-1205

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Summary:はじめに:我々は酷似したパターンの術中急変(閉創時に急激な高度低血圧を認め,蘇生処置)を起こした4症例を短期間に経験したため報告する.症例:代表症例は79歳女性.L3辷り症に対しL3/4後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF)施行した.PLIFは問題なく完了した.閉創中,創部ドレーンバッグに吸引チューブをつなげ術野血液を吸引し,筋膜閉創直後に高度低血圧を認めたため,仰臥位に戻しCPR開始した.すぐに蘇生され,側臥位で皮下縫合行い手術を完了し,ICUへ入室した.バイタル,意識ともに問題なく経過し,翌日ICU退室した.その後の入院経過も問題なく,術後12日で後遺症なく独歩退院した.他の3症例も1,2椎間のPLIF症例であり出血量・手術時間も多く,明らかな術中硬膜損傷を認めた症例もなかった.術後ICUに長期滞在した症例も麻痺が残存した症例もなかった.結語:吸引チューブにより筋膜閉創直後に硬膜外腔に高い陰圧が生じ,神経原性ショックを呈したと考えられた.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2022-1205