呼吸器

上気道は一般的に鼻腔,副鼻腔,咽頭,喉頭,気管までの一連の気道を指す。呼吸部の延長上には副鼻腔があり前頭洞,蝶形骨洞,櫛骨洞,上顎洞に分けられる。鼻腔・副鼻腔領域の腫瘍性疾患として唾液腺型腫瘍,嗅神経芽腫,上顎癌およびリンパ腫などがある。肺は主気管支から徐々に小さな気管支へと分岐を繰り返し,終末気管支を経て最終的には呼吸細気管支から肺胞へと連なる。肺疾患は循環障害,非感染性または感染症による肺炎,腫瘍性病変の3つに大別することができる。そのなかでも肺の感染症はきわめて頻度が高く,死因の上位にあり,呼吸器疾患の中でも主要な位置を占める。肺の感染症は細菌,ウイルス,マイコプラズマ,真菌,原虫など非...

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Published in医学検査 Vol. 71; no. J-STAGE-1; pp. 60 - 96
Main Authors 森藤, 哲史, 塚本, 龍子, 西川, 武, 伊藤, 智雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 31.01.2022
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.22J1-5

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Summary:上気道は一般的に鼻腔,副鼻腔,咽頭,喉頭,気管までの一連の気道を指す。呼吸部の延長上には副鼻腔があり前頭洞,蝶形骨洞,櫛骨洞,上顎洞に分けられる。鼻腔・副鼻腔領域の腫瘍性疾患として唾液腺型腫瘍,嗅神経芽腫,上顎癌およびリンパ腫などがある。肺は主気管支から徐々に小さな気管支へと分岐を繰り返し,終末気管支を経て最終的には呼吸細気管支から肺胞へと連なる。肺疾患は循環障害,非感染性または感染症による肺炎,腫瘍性病変の3つに大別することができる。そのなかでも肺の感染症はきわめて頻度が高く,死因の上位にあり,呼吸器疾患の中でも主要な位置を占める。肺の感染症は細菌,ウイルス,マイコプラズマ,真菌,原虫など非常に多種類の病原微生物によって引き起こされ,各種の特殊染色が診断に有用である場合が多い。肺腫瘍において,腺癌は最も多い組織型で肺癌の約60%を占め,女性に多く,末梢発生が多い。扁平上皮癌は約30%を占め,男性に多く,中枢発生が多いが,末梢型も増加している。小細胞癌は約10%,大細胞神経内分泌癌は3%程度を占め,両者ともに神経内分泌形態を示し,免疫染色では神経内分泌マーカーが推奨される。縦隔は上縦隔と下縦隔に分けられ,下縦隔はさらに前縦隔,中縦隔および後縦隔の3区域に分けられ,それぞれ好発する腫瘍は異なる。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.22J1-5