まれな血液型KoとSSをもつ献血者の家系と抗Kuの血小板による吸収実験

Chownら1)によりKell系の新しい表現型Koが報告された. このまれなKo型はKell座のすべての抗原を欠くことから妊娠や輸血によって, その血清中にKo型を除くすべての血液と反応する抗Kuが産生されることが予想されるので臨床上からも重要な血液型の1つである. 本邦の第1例はHamiltonとNakahara2)によって報告された. 次いで10年余を経て大久保ら3)により2例目と3例目が報告され, 現在では日本赤十字社血液型に関する研究会には8家系16例のKo型が登録されている4). 今回, われわれはSue家系の発端者が献血時の不規則抗体スクリーニングで陽性になったことから精査したとこ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 31; no. 6; pp. 556 - 560
Main Authors 永尾, 暢夫, 小河, 英人, 谷上, 純子, 大谷, 智司, 小西, 佳津江, 冨田, 忠夫, 大久保, 康人, 山口, 英夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1985
日本輸血学会
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Summary:Chownら1)によりKell系の新しい表現型Koが報告された. このまれなKo型はKell座のすべての抗原を欠くことから妊娠や輸血によって, その血清中にKo型を除くすべての血液と反応する抗Kuが産生されることが予想されるので臨床上からも重要な血液型の1つである. 本邦の第1例はHamiltonとNakahara2)によって報告された. 次いで10年余を経て大久保ら3)により2例目と3例目が報告され, 現在では日本赤十字社血液型に関する研究会には8家系16例のKo型が登録されている4). 今回, われわれはSue家系の発端者が献血時の不規則抗体スクリーニングで陽性になったことから精査したところ, 血清中の抗体は抗Kuで, 発端者血球は2つのまれな血液型KoとSSであり, その家系内でKo型が親子2代にわたり認められた極めて珍しい家系に遭遇した. さらに, 赤血球以外の細胞にKell系抗原が存在するか否かを調べる目的で, 発端者血清中の抗Kuと他の機会に入手した2例の抗Ku, 計3例について, リンパ球, 血小板を用いて吸収試験を試みたので併せて報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.31.556