口腔咽頭模型を用いたビデオ嚥下造影シミュレーション

近年, 急速な高齢社会化による脳障害を持つ患者の増加1や, 障害を持つ小児の生存率の上昇2に伴い, 摂食嚥下障害に対する関心が高まりつつある. ビデオ嚥下造影(Videofluorography:VF)は, 誤嚥の有無を最も確実に診断する検査法である. VF検査では, 造影剤を含んだ種々の形態の模擬食品(液体, ペースト, ゼリー, 固形物など, 以下試料と呼ぶ)を嚥下させ, 口腔から食道への試料の流れと嚥下器官の動きを, X線透視画像としてビデオレコーダに記録し, 後に繰り返し観察して評価する3. 誤嚥の診断に加え, 患者の嚥下動態を把握することを通じて, 摂食方法の決定あるいは嚥下食の調整...

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Published in歯科放射線 Vol. 44; no. 3; pp. 152 - 160
Main Authors 飯田, 幸弘, 勝又, 明敏, 藤下, 昌巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 30.09.2004
日本歯科放射線学会
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Summary:近年, 急速な高齢社会化による脳障害を持つ患者の増加1や, 障害を持つ小児の生存率の上昇2に伴い, 摂食嚥下障害に対する関心が高まりつつある. ビデオ嚥下造影(Videofluorography:VF)は, 誤嚥の有無を最も確実に診断する検査法である. VF検査では, 造影剤を含んだ種々の形態の模擬食品(液体, ペースト, ゼリー, 固形物など, 以下試料と呼ぶ)を嚥下させ, 口腔から食道への試料の流れと嚥下器官の動きを, X線透視画像としてビデオレコーダに記録し, 後に繰り返し観察して評価する3. 誤嚥の診断に加え, 患者の嚥下動態を把握することを通じて, 摂食方法の決定あるいは嚥下食の調整に有用な情報を得ることも検査目的のひとつとなる3-7. 著者らの施設では, 1999年よりVF検査を開始し, 2003年10月までに約100件を施行している4. VF検査では様々なタイプの誤嚥に遭遇するが, 最も頻度の高いものの一つは, 被検者が口腔内に保持できなかった試料が不随意に咽頭に流入する早期咽頭流入であり, これに対する嚥下反射の惹起が遅延したために試料が気管内に流入し誤嚥される形態である(Figure 1).
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology1960.44.152