人工炭酸泉

人工炭酸泉浴は天然炭酸泉浴と同様に, 保温, および循環改善作用が特異的で, ホメオスターシスの維持に有用である. われわれの体内には細胞組織に直接関係する末梢循環系があり, そこは血液, 組織液, 及びリンパが一連の体液として移動している微小循環系である1, 2). 体液には, O2, CO2等の組織ガス分圧があり, 組織の状態にしたがって体液の移動が行なわれると, これらの組織ガス分圧は変化してくる. 外部環境の変化により末梢の循環動態は多様に変化するので, 各種温泉浴に際しての変化を組織ガス分圧を指標として医用質量分析法3)により定性的に, あるいは定量的に評価することは意義のあることと...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 12 - 13
Main Author 古元, 嘉昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 1988
日本温泉気候物理医学会
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Summary:人工炭酸泉浴は天然炭酸泉浴と同様に, 保温, および循環改善作用が特異的で, ホメオスターシスの維持に有用である. われわれの体内には細胞組織に直接関係する末梢循環系があり, そこは血液, 組織液, 及びリンパが一連の体液として移動している微小循環系である1, 2). 体液には, O2, CO2等の組織ガス分圧があり, 組織の状態にしたがって体液の移動が行なわれると, これらの組織ガス分圧は変化してくる. 外部環境の変化により末梢の循環動態は多様に変化するので, 各種温泉浴に際しての変化を組織ガス分圧を指標として医用質量分析法3)により定性的に, あるいは定量的に評価することは意義のあることと考える. CO2の局所作用. CO2に接するところと接しないところに測定用カテーテルを挿入しておいて, 吸入の影響のないようにして湿ったCO2を送入すると, 明らかにCO2に接するところに皮下組織のpCO2の上昇がみられて経皮侵入による局所作用であることがわかる. 皮下組織のpCO2の上昇は, 約30分の入浴で十分に達せられると考えられる.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.52.12