唾液腺腫瘍のCT診断 小唾液腺腫瘍を中心に

近年唾液腺腫瘍に対する画像診断のmodalityとしては, CTに代わってMRIが主流となりつつある. しかし耳下腺や顎下腺等の大唾液腺腫瘍と異なり, 口腔領域の小唾液腺腫瘍の診断においては隣接する骨構造の変化や腫瘍内部の石灰化が鑑別診断の有力な手掛かりとなるため, CTの有用性がきわめて大きい. 本稿では, 口蓋に発生した小唾液腺腫瘍の診断におけるCTの有用性について概説する. 唾液腺腫瘍に対する画像診断の役割は, 腫瘍の進展範囲や周囲組織との関係を把握し, 良性悪性の鑑別について評価を行うことである. CTやMRIは同診断の中核を成す検査法であり, 最近では大唾液腺のみならず, 小唾液腺由...

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Published in歯科放射線 Vol. 43; no. 4; pp. 202 - 205
Main Authors 渡邊, 裕, 倉林, 亨, 大河内, 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 30.12.2003
日本歯科放射線学会
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ISSN0389-9705
2185-6311
DOI10.11242/dentalradiology1960.43.202

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Summary:近年唾液腺腫瘍に対する画像診断のmodalityとしては, CTに代わってMRIが主流となりつつある. しかし耳下腺や顎下腺等の大唾液腺腫瘍と異なり, 口腔領域の小唾液腺腫瘍の診断においては隣接する骨構造の変化や腫瘍内部の石灰化が鑑別診断の有力な手掛かりとなるため, CTの有用性がきわめて大きい. 本稿では, 口蓋に発生した小唾液腺腫瘍の診断におけるCTの有用性について概説する. 唾液腺腫瘍に対する画像診断の役割は, 腫瘍の進展範囲や周囲組織との関係を把握し, 良性悪性の鑑別について評価を行うことである. CTやMRIは同診断の中核を成す検査法であり, 最近では大唾液腺のみならず, 小唾液腺由来の腫瘍に対しても広く利用されている. 小唾液腺組織は, そのほとんどが口腔を覆う粘膜上皮下に存在しており, 同組織に由来する腫瘍は口蓋に最も好発し, 他には頬粘膜, 上唇, 臼後部等にも見られる. これらの腫瘍は視診, 触診によって容易に発見され, 臨床的にはその組織型にかかわらず, 正常粘膜に被覆されたnon-specificな腫瘤として認められることが多い. すなわち臨床所見に基づいて質的診断を行うことは困難であり, 術前の画像診断の重要性が一層強調される. 前述のように唾液腺腫瘍の診断においてはCTやMRIが広く利用されているが, 一般に両者を比較した場合には, MRIの有用性がCTを上回るとされている1). しかし口蓋に発生した小唾液腺腫瘍の診断においては隣接する骨構造の変化や腫瘍内部の石灰化が鑑別診断の有力な手掛かりとなるため, CTの有用性がきわめて大きい. 本稿では, 口蓋に発生した小唾液腺腫瘍の診断におけるCTの有用性を中心として概説する.
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology1960.43.202