定量的コンピューター断層撮影法 (QCT法) を用いた下顎骨骨密度と腰椎骨密度との関係
骨粗鬆症は, 骨量の減少を特徴とする疾患である。歯周病は, 歯周組織の炎症により, 歯槽骨吸収を引き起こす。そこで, 歯周病と骨粗鬆症との関係を把握する一助として, 下顎骨骨密度 (BMD of mandible, M-BMD) と腰椎骨密度 (bone mineral density of lumbar spine, L-BMD) との関係について検討した。被験者は, 本研究の主旨に同意の得られた閉経後女性30名で, L-BMDから, 2000年度日本骨代謝学会の診断基準に基づいて, 骨量正常群 (60.9±6.6歳, N群) 10名, 骨量減少群 (61.7±5.6歳, O1群) 10名,...
Saved in:
Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 46; no. 3; pp. 202 - 208 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
2004
日本歯周病学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.46.202 |
Cover
Loading…
Summary: | 骨粗鬆症は, 骨量の減少を特徴とする疾患である。歯周病は, 歯周組織の炎症により, 歯槽骨吸収を引き起こす。そこで, 歯周病と骨粗鬆症との関係を把握する一助として, 下顎骨骨密度 (BMD of mandible, M-BMD) と腰椎骨密度 (bone mineral density of lumbar spine, L-BMD) との関係について検討した。被験者は, 本研究の主旨に同意の得られた閉経後女性30名で, L-BMDから, 2000年度日本骨代謝学会の診断基準に基づいて, 骨量正常群 (60.9±6.6歳, N群) 10名, 骨量減少群 (61.7±5.6歳, O1群) 10名, 骨粗鬆症群 (66.6±7.0歳, O2群) 10名の3群に区分した。M-BMDは, 定量的コンピューター断層撮影 (quantitative computed tomography, QCT) 法, L-BMDは, 二重エネルギーX線吸収測定法 (dual energy X-ray absorptiometry, DEXA法) を用いて測定した。閉経後年数は, N群に比べO2群が長かったが, その他の身体所見や喫煙状態に差異はなかった。また, 現在歯数と歯周病所見 (probing depth, probing attachment level, 歯肉出血率, 歯槽骨吸収率) は各群間ほぼ同じであったが, 下顎骨海綿骨領域骨密度 (mandibular trabecular BMD, MTBMD) は, N群に比べO1群とO2群が低下していた (P<0.05)。したがって, 下顎骨は, 全身のBMDを反映しており, MTBMDの判定は, 閉経後女性の骨減少症や骨粗鬆症双方のリスクを予知する可能性が示唆された。 |
---|---|
ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.46.202 |