気道分泌の病態生理(第 7 回日本気管支学会総会特集)

気道分泌液, 正確には気道液は気道壁の分泌細胞とリンパ球, 血液, 肺胞被覆層と起源を異にする水分, 電解質, 粘液糖蛋白, 蛋白, 脂質等の諸成分から構成されており, 全体として粘弾性を示す。気道液は本来気道, 呼吸器疾患の発症や進展を防ぐ役割を果しており, 粘液一線毛運動はその代表的機序である。気道疾患が成立すると, 種々の機序により一般に気道分泌が亢進し, 気道液の量の増加と質的変動が起こり, 喀痰, 咳, 呼吸困難などの臨床症状の原因になる。気道疾患の発症防止法やその治療法の開発のためには, 正常時と病態時の気道液の差違, 気道液の生物学的ならびに物理学的特性などの問題が物のレベルで,...

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Published in気管支学 Vol. 6; no. 4; pp. 405 - 417
Main Author 安岡, 劭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1984
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.6.4_405

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Summary:気道分泌液, 正確には気道液は気道壁の分泌細胞とリンパ球, 血液, 肺胞被覆層と起源を異にする水分, 電解質, 粘液糖蛋白, 蛋白, 脂質等の諸成分から構成されており, 全体として粘弾性を示す。気道液は本来気道, 呼吸器疾患の発症や進展を防ぐ役割を果しており, 粘液一線毛運動はその代表的機序である。気道疾患が成立すると, 種々の機序により一般に気道分泌が亢進し, 気道液の量の増加と質的変動が起こり, 喀痰, 咳, 呼吸困難などの臨床症状の原因になる。気道疾患の発症防止法やその治療法の開発のためには, 正常時と病態時の気道液の差違, 気道液の生物学的ならびに物理学的特性などの問題が物のレベルで, すなわち生化学的に解明される必要がある。ここでは, 気道一肺胞洗浄法による気道-肺胞系の各レベルによる生体防御成分の差違の追求と, 慢性気管支炎における気道液の変動の機序や喀痰の物理学的特性の背景となる構造上の特徴などを追求するうえでの問題点を述べた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.6.4_405