老人性平衡障害 (Presbyastasis) の臨床的検討 —クロステストによる治療判定の試み
[はじめに]高齢者人口の増加とともに, めまいを主訴に来院する高齢者患者は増えている. 72歳以上の24%にめまい・平衡障害がみられ1), また転倒・骨折の危険因子としてのめまい・平衡障害の相対リスクは2.9倍とされている2). 耳鼻咽喉科外来を受診するめまい患者に占める高齢者めまい患者は約3割で3), その原因としては, 良性発作性頭位眩暈症が最も多く, 以下末梢性前庭障害, 脳血管障害, メニエール病, 心因性めまい, 前庭神経炎, 脳腫瘍などの報告が多い. 老人性ないし加齢性平衡障害(Presbyastasis)は中枢・末梢前庭系の加齢変化に伴う平衡障害を指し4), 老人性ないし加齢性難...
Saved in:
Published in | Equilibrium Research Vol. 70; no. 6; pp. 473 - 480 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
01.12.2011
日本めまい平衡医学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-5716 1882-577X |
DOI | 10.3757/jser.70.473 |
Cover
Summary: | [はじめに]高齢者人口の増加とともに, めまいを主訴に来院する高齢者患者は増えている. 72歳以上の24%にめまい・平衡障害がみられ1), また転倒・骨折の危険因子としてのめまい・平衡障害の相対リスクは2.9倍とされている2). 耳鼻咽喉科外来を受診するめまい患者に占める高齢者めまい患者は約3割で3), その原因としては, 良性発作性頭位眩暈症が最も多く, 以下末梢性前庭障害, 脳血管障害, メニエール病, 心因性めまい, 前庭神経炎, 脳腫瘍などの報告が多い. 老人性ないし加齢性平衡障害(Presbyastasis)は中枢・末梢前庭系の加齢変化に伴う平衡障害を指し4), 老人性ないし加齢性難聴(Presbycusis)と対になる疾患概念で, 上述の各種疾患およびコントロール不良の高血圧, 高脂血症, 糖尿病などの生活習慣病, 心筋梗塞・脳梗塞などの血管障害が否定された除外診断になる. 疾患に占める割合としては多くはないものの治療抵抗性で再来患者として増えてくることが多い. |
---|---|
ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.70.473 |