異時性PBC-AIH overlap症候群との鑑別に苦慮したAMA M2陽性AIHの1例

71歳の女性が2011年1月に通院中の近医で胆道系酵素の上昇を指摘され,同3月当科紹介となった.軽度の肝機能異常と胆道系酵素の上昇を認め,抗ミトコンドリアM2抗体(AMA M2)価が158倍と高値陽性であり,PBC(Primary biliary cirrhosis)と診断された.同4月上旬より尿の濃染,倦怠感を自覚するようになり,4月13日の採血でT-bil 3.7 mg/dl,AST 224 IU/L,ALT 1095 IU/Lとトランスアミナーゼの急上昇を認め,異時性PBC-AIH(Autoimmune hepatitis)overlap症候群を疑った.肝生検組織では強いinterfac...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 1; pp. 44 - 50
Main Authors 中村, 路夫, 永坂, 敦, 深澤, 雄一郎, 西川, 秀司, 藤田, 與茂, 遠藤, 文菜, 樋口, 晶文, 梅村, 真知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.44

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Summary:71歳の女性が2011年1月に通院中の近医で胆道系酵素の上昇を指摘され,同3月当科紹介となった.軽度の肝機能異常と胆道系酵素の上昇を認め,抗ミトコンドリアM2抗体(AMA M2)価が158倍と高値陽性であり,PBC(Primary biliary cirrhosis)と診断された.同4月上旬より尿の濃染,倦怠感を自覚するようになり,4月13日の採血でT-bil 3.7 mg/dl,AST 224 IU/L,ALT 1095 IU/Lとトランスアミナーゼの急上昇を認め,異時性PBC-AIH(Autoimmune hepatitis)overlap症候群を疑った.肝生検組織では強いinterface hepatitisと肝細胞の壊死脱落の所見を認め,門脈域に細胆管の増生を認めたが,胆管の慢性破壊性変化を示唆する所見に乏しく,AMA M2陽性AIHと診断した.ウルソデオキシコール酸(UDCA)600 mg/day,プレドニゾロン(PSL)30 mg/day投与を開始したところ肝機能障害が速やかに軽快した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.44