心室中隔解離を伴った右 Valsalva 洞動脈瘤の1治験例

症例は60歳男性.1カ月前から動悸,下肢浮腫を来たし近医を受診した.Valsalva洞動脈瘤,大動脈弁閉鎖不全と診断され手術目的に当科を紹介された.心エコーで右Valsalva洞動脈瘤を認め,瘤が心室中隔基部に進展し解離した形態を呈していた.中等度の大動脈弁逆流,僧帽弁逆流,軽度の三尖弁逆流を合併していた.動脈瘤開口部のパッチ閉鎖,大動脈弁置換,僧帽弁輪形成,三尖弁輪形成術を施行した.右Valsalva洞中央の弁輪直上から右冠動脈開口部の下に瘤形成し,右冠尖の逸脱と小穿孔を認めた.両交連部付近までヘマシールドパッチを補填して開口部を閉鎖し人工弁固定の糸針は右冠尖側はパッチに通した.術後経過は良...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 63 - 66
Main Authors 金光, 尚樹, 平尾, 慎吾, 青田, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2013
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Summary:症例は60歳男性.1カ月前から動悸,下肢浮腫を来たし近医を受診した.Valsalva洞動脈瘤,大動脈弁閉鎖不全と診断され手術目的に当科を紹介された.心エコーで右Valsalva洞動脈瘤を認め,瘤が心室中隔基部に進展し解離した形態を呈していた.中等度の大動脈弁逆流,僧帽弁逆流,軽度の三尖弁逆流を合併していた.動脈瘤開口部のパッチ閉鎖,大動脈弁置換,僧帽弁輪形成,三尖弁輪形成術を施行した.右Valsalva洞中央の弁輪直上から右冠動脈開口部の下に瘤形成し,右冠尖の逸脱と小穿孔を認めた.両交連部付近までヘマシールドパッチを補填して開口部を閉鎖し人工弁固定の糸針は右冠尖側はパッチに通した.術後経過は良好であった.若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.42.63