肝硬変症における胆嚢機能 胆嚢の胆汁駆出率とCCK分泌動態からの検討

肝硬変症に胆石症が高率に合併することはよく知られている.本症合併胆石は多くが胆嚢内黒色石であり,その成因についてはいまだ明らかにされていない部分が多い.今回,著者らは本症胆嚢におげる胆汁駆出能に注目し,胆嚢機能の面から結石生成の成因を考察した.早朝空腹時99mTc-PMTを185MBq静注し,60分後,胆嚢がRIで十分に満たされたところで卵黄を2個経口摂取させた.以後30分間における胆嚢の胆汁駆出率は健常例の平均66.4%に比べ,肝硬変症では平均42.9%と有意の低下がみられた.また経口卵黄負荷前後の血中CCK濃度の推移をみると,肝硬変症では健常例に比べ負荷前後ともに高値を示す傾向が認められた...

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Published in胆道 Vol. 4; no. 1; pp. 37 - 42
Main Authors 田中, 岳史, 別府, 倫兄, 二川, 俊二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1990
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Summary:肝硬変症に胆石症が高率に合併することはよく知られている.本症合併胆石は多くが胆嚢内黒色石であり,その成因についてはいまだ明らかにされていない部分が多い.今回,著者らは本症胆嚢におげる胆汁駆出能に注目し,胆嚢機能の面から結石生成の成因を考察した.早朝空腹時99mTc-PMTを185MBq静注し,60分後,胆嚢がRIで十分に満たされたところで卵黄を2個経口摂取させた.以後30分間における胆嚢の胆汁駆出率は健常例の平均66.4%に比べ,肝硬変症では平均42.9%と有意の低下がみられた.また経口卵黄負荷前後の血中CCK濃度の推移をみると,肝硬変症では健常例に比べ負荷前後ともに高値を示す傾向が認められた.以上より肝硬変症においてはCCK分泌異常を伴った胆嚢の収縮不良,胆嚢内胆汁うっ滞が存在することが判明し,従来論じられてきた脾機能亢進・溶血因子以外にも本症が結石生成に傾きやすい病態を有していると考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.4.1_37