意思決定モデルの一提案とそのファジィニューラルネットワークによる実現
人間の感性や主観的判断をファジィ理論を用いてモデル化しようとする研究が近年盛んに行われている。筆者らは、人間の意思決定問題のモデルとして、評価対象の各属性の評価値をファジィ分割し、分割された各領域ごとに総合評価値を各属性の加重線形式で近似する方法を提案してきた。本論文ではこのモデルを拡張し、総合評価値を2本の線形式で包含するモデルを提案する。総合評価値を2本の線形式で挟むことにより、同じ評価対象に対しても異なる評価をするという、人間の評価のばらつきを表現できる。さらに、総合評価値の上側および下側の傾向を同定した線形式の係数により、人間の評価のばらつきを、各属性に対する重視度の変化として捉えるこ...
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Published in | 日本ファジィ学会誌 Vol. 5; no. 3; pp. 587 - 599 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本知能情報ファジィ学会
1993
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-647X 2432-9932 |
DOI | 10.3156/jfuzzy.5.3_587 |
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Summary: | 人間の感性や主観的判断をファジィ理論を用いてモデル化しようとする研究が近年盛んに行われている。筆者らは、人間の意思決定問題のモデルとして、評価対象の各属性の評価値をファジィ分割し、分割された各領域ごとに総合評価値を各属性の加重線形式で近似する方法を提案してきた。本論文ではこのモデルを拡張し、総合評価値を2本の線形式で包含するモデルを提案する。総合評価値を2本の線形式で挟むことにより、同じ評価対象に対しても異なる評価をするという、人間の評価のばらつきを表現できる。さらに、総合評価値の上側および下側の傾向を同定した線形式の係数により、人間の評価のばらつきを、各属性に対する重視度の変化として捉えることができる。本論文では、このモデルを実現できるファジィニューラルネットワークをあわせて提案する。上側および下側を同定する学習法には石渕・田中の手法を用いた。本モデルの有効性を示すために、顔グラフの表情評価実験および、中古二輪自動車の選択実験を行い、それぞれの評価モデルの獲得を行った。得られた結果は、被験者の感覚と良く一致するばかりでなく、個人の特徴を表すものであった。 |
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ISSN: | 0915-647X 2432-9932 |
DOI: | 10.3156/jfuzzy.5.3_587 |