多属性意思決定問題における重視度の変遷

近年人間の持つあいまいさを扱うのにファジィ理論が有効であると期待され、人間を含むシステムの表現などに適用され、多くの成果をあげている。特に、人間の感情の同定や意思決定問題など、人間自体に関する研究が近年盛んになりつつある。筆者らは多属性意思決定問題において、各属性に対する人間の重視度合に着目したファジィ意思決定モデルを提案してきた。本モデルは評価対象の各属性の評価値をファジィ分割し、分割された各ファジィ部分領域ごとに加重線形式で人間の意思決定を近似する手法である。一方、マーケティングにおける消費者選好の測定に有用な手法としてコンジョイント分析が実用化されている。この手法は、アンケート結果などか...

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Published in日本ファジィ学会誌 Vol. 7; no. 4; pp. 826 - 838
Main Authors 内川, 嘉樹, 古橋, 武, 橋山, 智訓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本知能情報ファジィ学会 1995
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ISSN0915-647X
2432-9932
DOI10.3156/jfuzzy.7.4_826

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Summary:近年人間の持つあいまいさを扱うのにファジィ理論が有効であると期待され、人間を含むシステムの表現などに適用され、多くの成果をあげている。特に、人間の感情の同定や意思決定問題など、人間自体に関する研究が近年盛んになりつつある。筆者らは多属性意思決定問題において、各属性に対する人間の重視度合に着目したファジィ意思決定モデルを提案してきた。本モデルは評価対象の各属性の評価値をファジィ分割し、分割された各ファジィ部分領域ごとに加重線形式で人間の意思決定を近似する手法である。一方、マーケティングにおける消費者選好の測定に有用な手法としてコンジョイント分析が実用化されている。この手法は、アンケート結果などから評価対象の各属性の部分効用を求めることにより、消費者の選好モデルを得る点において、筆者らのモデルに最も近い。本論文では、筆者らの手法をコンジョイント分析の手法と比較し、本手法の特徴を明らかにする。さらに、従来研究がなされてこなかった人間の意思決定過程における迷いともいえる時間的な変遷について、その同定法を提案する。さらに、意思決定の最中に新たな情報を与えることによる、意思決定の変遷を同定する手法も提案する。これらの手法の有用性を示すために、実際の意思決定問題として中古自動二輪車の選択問題を例にとり、意思決定を下すまでの人間の評価の変遷が各属性の重視度の変化として捉えることができることを示す。
ISSN:0915-647X
2432-9932
DOI:10.3156/jfuzzy.7.4_826