看護職員臨地実習指導者養成講習会受講後の指導困難感の変化について—ロールプレイを活用した体験型学習の効果に着目して

看護教育の質的向上を図るために、都道府県は看護職員臨地実習指導者養成講習会を開催している。本研究の目的は、実習指導者の指導上の困難感について、体験型学習を取り入れた講習会受講前後の変化を見ることである。研究対象者は2018年度A県講習会を受講した53名とし、受講前後のアンケート回答に欠損のない47名の実習指導上の困難感の変化について、対応のあるt検定を用いて受講前後の比較を行った(有効回答率94.0%)。質問項目は、先行研究により明らかにされている実習指導上の困難感に独自の項目を加えた40項目である。対象者の平均年齢は33.48歳(SD5.22)、看護職経験年数は平均11.75年(SD4.63...

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Published in新潟医療福祉学会誌 Vol. 24; no. 3; pp. 19 - 26
Main Authors 荒木, 恵子, 山田, 真衣, 松井, 由美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 新潟医療福祉学会 2025
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ISSN1346-8774
2435-9777
DOI10.34540/niigatajohewewa.24.3_19

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Summary:看護教育の質的向上を図るために、都道府県は看護職員臨地実習指導者養成講習会を開催している。本研究の目的は、実習指導者の指導上の困難感について、体験型学習を取り入れた講習会受講前後の変化を見ることである。研究対象者は2018年度A県講習会を受講した53名とし、受講前後のアンケート回答に欠損のない47名の実習指導上の困難感の変化について、対応のあるt検定を用いて受講前後の比較を行った(有効回答率94.0%)。質問項目は、先行研究により明らかにされている実習指導上の困難感に独自の項目を加えた40項目である。対象者の平均年齢は33.48歳(SD5.22)、看護職経験年数は平均11.75年(SD4.63)、指導者経験年数は平均1.88年(SD2.33)であった。講習会受講後は実習指導上の困難感が有意に減少した(p<.000)。特に「指導者自身の力量に関する困難」については、受講後多くの項目で困難感が減少した。困難感が軽減した要因として、中堅看護師にとって講習会で実習指導のための知識や指導技術を学んだことで自信をもち、自己効力感を高めることにつながったと考える。また、受講者はロールプレイを活用した体験型学習により、他者を理解し、実習指導の具体的な展開方法を学ぶことができた。学生を観察する視点を身につけることや、学生の行動を理解することが困難感の軽減につながることが示唆された。
ISSN:1346-8774
2435-9777
DOI:10.34540/niigatajohewewa.24.3_19