原発閉塞隅角病(PACD:Primary Angle Closure Disease)

我が国における中途失明原因の第1位である緑内障は開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に大別される。このうち原発性の開放隅角緑内障に対する根治的治療は存在せず治癒させることもできないので疾患管理が治療の基本となるが、原発閉塞隅角緑内障(PACG)については早期に診断して適切に治療すれば事実上の治癒にもちこむことができる。一方で、PACGは適切な診療が行われなければ視機能の予後は悪く、失明リスクは開放隅角緑内障の3~5倍とされる。PACGは正しく診断して適切な治療を行うことが特に重要な病型であり、医療者の責務は重い。本稿のタイトルである原発閉塞隅角病(PACD)はPACGの前駆病変を包含する新しい用語で...

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Published in神戸市立病院紀要 Vol. 62; pp. 1 - 7
Main Author 栗本, 康夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 2024
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ISSN0286-455X
2434-7590
DOI10.32301/kobecityhospital.62.0_1

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Summary:我が国における中途失明原因の第1位である緑内障は開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に大別される。このうち原発性の開放隅角緑内障に対する根治的治療は存在せず治癒させることもできないので疾患管理が治療の基本となるが、原発閉塞隅角緑内障(PACG)については早期に診断して適切に治療すれば事実上の治癒にもちこむことができる。一方で、PACGは適切な診療が行われなければ視機能の予後は悪く、失明リスクは開放隅角緑内障の3~5倍とされる。PACGは正しく診断して適切な治療を行うことが特に重要な病型であり、医療者の責務は重い。本稿のタイトルである原発閉塞隅角病(PACD)はPACGの前駆病変を包含する新しい用語であるが、近年、国内外での緑内障の大規模疫学調査の知見や前眼部画像診断法の進歩によりPACDの病態への理解が進み疾患概念が大きく変更され、新たな用語の導入と共に分類や治療方針もアップデートされた。本稿では、今日におけるPACD診療のありかたについて概説する。
ISSN:0286-455X
2434-7590
DOI:10.32301/kobecityhospital.62.0_1