自律送液が可能なマイクロチップと有機フォトダイオード検出器を用いる化学発光分析システムの開発

ポリジメチルシロキサン(PDMS)マイクロチップと有機フォトダイオード(OPD)検出器を用いる小型で安価な化学発光分析システムを開発した.PDMS樹脂は空気を溶解する性質があるので,本システムではあらかじめ脱気したPDMSマイクロチップを用いることにより,送液ポンプを用いずにリザーバー内の試料・試薬溶液をマイクロチャネルに自律的に送液することが可能である.Poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl)と[6,6]-Phenyl-C61 butyric acid methyl esterを光電変換層とするOPDと脱気したPDMSマイクロチップを用いて化学発光分析システムを構築し,...

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Published in分析化学 Vol. 69; no. 1.2; pp. 31 - 39
Main Authors 曲, 奎智, 森岡, 和大, 東, 奈穗, 長嶋, 萌子, 辺見, 彰秀, 東海林, 敦, 村上, 博哉, 手嶋, 紀雄, 梅村, 知也, 加藤, 俊吾, 河西, 奈保子, 内山, 一美, 中嶋, 秀
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.01.2020
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Summary:ポリジメチルシロキサン(PDMS)マイクロチップと有機フォトダイオード(OPD)検出器を用いる小型で安価な化学発光分析システムを開発した.PDMS樹脂は空気を溶解する性質があるので,本システムではあらかじめ脱気したPDMSマイクロチップを用いることにより,送液ポンプを用いずにリザーバー内の試料・試薬溶液をマイクロチャネルに自律的に送液することが可能である.Poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl)と[6,6]-Phenyl-C61 butyric acid methyl esterを光電変換層とするOPDと脱気したPDMSマイクロチップを用いて化学発光分析システムを構築し,これを用いて過酸化水素の測定を検討したところ,3.2 mM以下の濃度において良好な検量線が得られ,検出限界は4.4 μMと見積もられた.また,本システムは市販の過酸化水素分析キットと比較して,試料と試薬の使用量を1/5に削減できること,また,分析時間を1/10に短縮できることが明らかになった.さらに,本システムを用いて市販の殺菌消毒剤(オキシドール)中に含まれる過酸化水素の定量を検討したところ,本システムにより得られた過酸化水素の定量値はオキシドールの容器に記載されている過酸化水素濃度と一致し,本システムを用いて殺菌消毒剤中の過酸化水素を定量できることが確認された.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.69.31