つくば南観測井(茎崎コア)の基盤深成岩の統合放射年代とその帰属
2006年に防災科学技術研究所が掘削したつくば南観測井の深度801-1,117 mの基盤岩コア(以下茎崎コア)について,岩石学的,年代学的検討を実施した.コアはマイロナイト化した角閃石トーナル岩~斑れい岩であり,その一部では北傾斜の面構造,左ずれ逆断層の剪断のセンスが確認された.斑れい岩中の角閃石K-Ar年代は66.1 Ma,トーナル岩中のSHRIMPジルコンU-Pb年代は86.3 Ma, Sr同位体比初生値は0.7067,0.7073となった.これらの年代およびSr同位体比初生値から,茎崎コアの帰属は筑波花崗岩類には求められず,中部地方や関東の領家花崗岩類に対比できる.したがって,コアに認め...
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Published in | 地質学雑誌 Vol. 121; no. 9; pp. 325 - 337 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本地質学会
15.09.2015
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ISSN | 0016-7630 1349-9963 |
DOI | 10.5575/geosoc.2015.0023 |
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Summary: | 2006年に防災科学技術研究所が掘削したつくば南観測井の深度801-1,117 mの基盤岩コア(以下茎崎コア)について,岩石学的,年代学的検討を実施した.コアはマイロナイト化した角閃石トーナル岩~斑れい岩であり,その一部では北傾斜の面構造,左ずれ逆断層の剪断のセンスが確認された.斑れい岩中の角閃石K-Ar年代は66.1 Ma,トーナル岩中のSHRIMPジルコンU-Pb年代は86.3 Ma, Sr同位体比初生値は0.7067,0.7073となった.これらの年代およびSr同位体比初生値から,茎崎コアの帰属は筑波花崗岩類には求められず,中部地方や関東の領家花崗岩類に対比できる.したがって,コアに認められた厚さ200 mを越えるマイロナイト帯は,関東平野下の中央構造線の延長部である可能性が高い.その南側に位置し,中央構造線を切断するとされていた利根川構造線の位置の再検討が必要である. |
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ISSN: | 0016-7630 1349-9963 |
DOI: | 10.5575/geosoc.2015.0023 |