紫外線照射下での光分解反応速度の違いに基づく遊離塩素と結合塩素のFIA同時定量

世界各地で水不足と水質汚染の問題が深刻となっており,衛生的な水の確保は重要な課題である.水の消毒では,遊離塩素と結合塩素の濃度を適切に管理することが重要である.遊離塩素と結合塩素の間には光分解反応速度に差が生じるため,この性質を利用することで遊離塩素と結合塩素の分別が可能であると考えた.本研究では,光照射流路と光照射のない流路への分岐を備えたフローインジェクション分析(FIA)システムを構築し,それぞれの流路を経由して得られるシグナルを時間差で検出した.その結果,それぞれのシグナルの大きさと遊離塩素及び結合塩素濃度の関係から作成した線型方程式を用いることで,一度の試料注入での同時定量が可能とな...

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Published in分析化学 Vol. 72; no. 1.2; pp. 25 - 32
Main Authors 北條, 三奈, 河野, 俊貴, 棚田, 智大, 飯山, 真充, 高柳, 俊夫, 水口, 仁志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.01.2023
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Summary:世界各地で水不足と水質汚染の問題が深刻となっており,衛生的な水の確保は重要な課題である.水の消毒では,遊離塩素と結合塩素の濃度を適切に管理することが重要である.遊離塩素と結合塩素の間には光分解反応速度に差が生じるため,この性質を利用することで遊離塩素と結合塩素の分別が可能であると考えた.本研究では,光照射流路と光照射のない流路への分岐を備えたフローインジェクション分析(FIA)システムを構築し,それぞれの流路を経由して得られるシグナルを時間差で検出した.その結果,それぞれのシグナルの大きさと遊離塩素及び結合塩素濃度の関係から作成した線型方程式を用いることで,一度の試料注入での同時定量が可能となった.次亜塩素酸イオンとクロラミンTの混合溶液を用いて同時定量を試みたところ,仕込み量と同等の値を得ることができた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.72.25