幼児期における行動面での困難さと運動特性の関係 5歳児を対象とした発達課題の早期発見と対策

【目的】小学校の通常学級では8.8%の児童が学習または行動面で著しい困難がみられ,特別支援教育の整備がなされてきた。そのような中,児童の行動特性と新体力測定との関係や,協調運動とバランス能力の関係等が明らかにされている。一方,就学前の幼児には十分な調査や支援体制が整っていない。本研究では幼児期における行動面での困難さと運動特性の関係を明らかにし,保育時の適切な支援方法を探索した。【方法】5歳児52名を対象に行動特性(SDQ)と運動特性(MKS)の関係を調査した。【結果】男児は,行為,多動/不注意,情緒,仲間関係の問題,向社会的行動のすべてで,運動特性と相関関係が認められた。女児では,仲間関係の...

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Published in日本予防理学療法学会雑誌 Vol. 4; no. 1; pp. 10 - 18
Main Authors 成田, 亜希, 大西, 満
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本予防理学療法学会 30.09.2024
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Summary:【目的】小学校の通常学級では8.8%の児童が学習または行動面で著しい困難がみられ,特別支援教育の整備がなされてきた。そのような中,児童の行動特性と新体力測定との関係や,協調運動とバランス能力の関係等が明らかにされている。一方,就学前の幼児には十分な調査や支援体制が整っていない。本研究では幼児期における行動面での困難さと運動特性の関係を明らかにし,保育時の適切な支援方法を探索した。【方法】5歳児52名を対象に行動特性(SDQ)と運動特性(MKS)の関係を調査した。【結果】男児は,行為,多動/不注意,情緒,仲間関係の問題,向社会的行動のすべてで,運動特性と相関関係が認められた。女児では,仲間関係の問題のみ,運動特性と相関関係が認められた。【考察】5歳児は自己中心的な世界から他者との関係を理解しはじめる時期であり,行動面での困難さが運動遊びを促すことで発達的課題に対応できる可能性が示唆された。
ISSN:2436-9950
DOI:10.57304/jptp.JPTP-D-24-00004