シクロスポリン (CyA) 内服中に起こったposterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) の1例
近年シクロスポリン (CyA) は,難治性ネフローゼ症候群へ広く用いられているが,一方でさまざまな副作用が報告されており,Posterior reversibel encephalopathy syndrome (PRES) は,CyAの注目すべき副作用のうちの一つである。 今回,我々はCyAの投与によりPRESを発症したネフローゼ症候群の一男児例を経験した。症例は9歳5ヵ月の頻回再発型ネフローゼ症候群の男児で,6回目の再発に際し経口ステロイドにCyAを併用した。CyA投与後11日目に頭痛,嘔吐,痙攣発作を来たし,当科に入院したが臨床症状は発症当日のうちに無治療で消失した。CyAによる神経障...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 15; no. 2; pp. 95 - 98 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
30.11.2002
日本小児腎臓病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0915-2245 1881-3933 |
DOI | 10.3165/jjpn.15.95 |
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Summary: | 近年シクロスポリン (CyA) は,難治性ネフローゼ症候群へ広く用いられているが,一方でさまざまな副作用が報告されており,Posterior reversibel encephalopathy syndrome (PRES) は,CyAの注目すべき副作用のうちの一つである。 今回,我々はCyAの投与によりPRESを発症したネフローゼ症候群の一男児例を経験した。症例は9歳5ヵ月の頻回再発型ネフローゼ症候群の男児で,6回目の再発に際し経口ステロイドにCyAを併用した。CyA投与後11日目に頭痛,嘔吐,痙攣発作を来たし,当科に入院したが臨床症状は発症当日のうちに無治療で消失した。CyAによる神経障害を考え,同薬剤を中止した。入院翌日に施行した頭部MRIで右頭頂葉から後頭葉に異常所見を認めたが21日後には消失し,PRESと診断した。本症例では,拡張期の高血圧と血清マグネシウムの低下が確認され,PRES発症への関与が考えられた。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.15.95 |