セネガル共和国農村部の市場志向型農業振興(SHEP)アプローチ導入済み農家世帯に対する貧血改善・予防を目的とした栄養改善パイロット活動の実施と評価

【目的】セネガル共和国ニャイ地区で市場志向型農業振興 (SHEP) アプローチ導入済み農家が向上した収入の一部を自発的に食生活の改善に支出していたが,食生活実態調査の結果,必ずしも栄養改善につながる活用がされていなかった。また貧血が対象地域の主な健康課題として抽出された。そこで,「SHEP導入による収入向上」を前提とした栄養改善事業の実施可能性を検討するために,健康的な食事を通じた貧血の改善・予防に焦点をあてたパイロット活動の実施と評価を試みた。【方法】SHEP導入による収入向上が確認された地域で,現地のコミュニティ構造,食環境及び教育レベルを考慮し,次の4つの活動を実施し,各活動の経過・影響...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 335 - 348
Main Authors 岩田, 瑠美, 信田, 幸大, 衞藤, 久美, 矢賀部, 隆史, 深井, 善雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.12.2023
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Summary:【目的】セネガル共和国ニャイ地区で市場志向型農業振興 (SHEP) アプローチ導入済み農家が向上した収入の一部を自発的に食生活の改善に支出していたが,食生活実態調査の結果,必ずしも栄養改善につながる活用がされていなかった。また貧血が対象地域の主な健康課題として抽出された。そこで,「SHEP導入による収入向上」を前提とした栄養改善事業の実施可能性を検討するために,健康的な食事を通じた貧血の改善・予防に焦点をあてたパイロット活動の実施と評価を試みた。【方法】SHEP導入による収入向上が確認された地域で,現地のコミュニティ構造,食環境及び教育レベルを考慮し,次の4つの活動を実施し,各活動の経過・影響評価を行った:1) 正しい食知識を住民に伝える講師の育成,2) 食事作り担当者への健康的な食事や貧血改善・予防についての教育,3) 学習内容の実践・強化のためのイベント,4) 食料品店を通じた消費者への食品の栄養に関する情報提供。【結果】経過評価の結果から,活動内容,実施方法,教材,全体の満足度に関する評価が高かった。また影響評価の結果から,健康的な食事を通した貧血改善・予防についての知識・態度・スキルが改善した参加者が9割以上だった。【結論】試行したいずれの活動も円滑に実施され,それらの評価から「SHEP導入による収入向上」を前提とした栄養改善事業はセネガル共和国ニャイ地区において実施可能と判断された。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.81.335