セネガル共和国における市場志向型農業振興(SHEP)アプローチ導入済み農家世帯対象食生活実態調査の実施プロセスと栄養改善活動に向けた課題抽出

【目的】SHEP(Smallholder Horticulture Empowerment & Promotion:市場志向型農業振興)導入済み農家世帯の食生活の実態を把握することを目的に実施した調査の実施プロセスと抽出された課題について報告する。【活動内容】日本人専門家,現地スタッフ,現地調査員でニャイ地区を対象に調査を計画,実施した。面接法による質問紙調査と食事調査より,世帯の食事状況,食物の入手方法,食事づくり担当者の食態度・食行動等,SHEP導入による食生活の変化を調査した。プレ調査をふまえて本調査を2020年12月に実施し100世帯から回答を得た。【活動成果】回答者は全員イス...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 164 - 175
Main Authors 衞藤, 久美, 岩田, 瑠美, 信田, 幸大, 矢賀部, 隆史, 深井, 善雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.08.2023
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Summary:【目的】SHEP(Smallholder Horticulture Empowerment & Promotion:市場志向型農業振興)導入済み農家世帯の食生活の実態を把握することを目的に実施した調査の実施プロセスと抽出された課題について報告する。【活動内容】日本人専門家,現地スタッフ,現地調査員でニャイ地区を対象に調査を計画,実施した。面接法による質問紙調査と食事調査より,世帯の食事状況,食物の入手方法,食事づくり担当者の食態度・食行動等,SHEP導入による食生活の変化を調査した。プレ調査をふまえて本調査を2020年12月に実施し100世帯から回答を得た。【活動成果】回答者は全員イスラム教徒の女性,年齢(中央値)45歳,55世帯は一夫多妻制,世帯員数の中央値は15名だった。医療関係者に貧血と判断された15~49歳の女性がいる世帯は43世帯だった。調査前日に食事を3回食べたのは98世帯で,1回目の食事ではパンとコーヒーなど2種類,2,3回目の食事ではチェブジェンなど1種類の料理を食べた世帯が多かった。SHEP導入により収入が向上した71世帯中63世帯は収入を食生活改善に活用し,約3割の世帯で野菜・果物,肉・魚の食卓登場頻度が増えた。【今後の課題】栄養改善活動に向けた課題として1)優先すべき健康課題は貧血である,2)食事の量と質の両面で課題がある,3)多様な食品を食べるなどを食生活で重視し,実践している者は約半数である,4)SHEPによる収入向上は必ずしも栄養改善につながっていないの4つが抽出された。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.81.164