高齢発症のEBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)の1例
症例は84歳,女性.近医に糖尿病,慢性心房細動で通院中で,ADLは自立していた.X-10日頃から食事量が低下して立ち上がるのが困難になり,X日に初診した.全身のリンパ節腫脹があり,悪性リンパ腫を疑いPETやリンパ節生検を行ったが,診断に至らなかった.食思不振は一旦自然に改善したが,再度悪化して発熱もあったため,X+41日に入院した.支持療法のみで発熱や食思不振は一旦軽快した.頸部リンパ節の病理所見からEBウイルス関連の疾患を疑った.EBウイルスDNAの末梢血中への増加と,発熱,脾腫,低フィブリノゲン血症,血清フェリチン高値,骨髄での血球貪食像を認めたため,EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 56; no. 4; pp. 525 - 531 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.10.2019
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Summary: | 症例は84歳,女性.近医に糖尿病,慢性心房細動で通院中で,ADLは自立していた.X-10日頃から食事量が低下して立ち上がるのが困難になり,X日に初診した.全身のリンパ節腫脹があり,悪性リンパ腫を疑いPETやリンパ節生検を行ったが,診断に至らなかった.食思不振は一旦自然に改善したが,再度悪化して発熱もあったため,X+41日に入院した.支持療法のみで発熱や食思不振は一旦軽快した.頸部リンパ節の病理所見からEBウイルス関連の疾患を疑った.EBウイルスDNAの末梢血中への増加と,発熱,脾腫,低フィブリノゲン血症,血清フェリチン高値,骨髄での血球貪食像を認めたため,EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(Epstein-Barr virus-associated hemophagocytic lymphohistiocytosis:以下EBV-HLHと略す)と診断した.再度発熱して食事が摂れなくなり,X+90日からプレドニゾロン20 mg/日を開始したところ,解熱して食事が摂れるようになった.X+131日に自宅退院したが,X+145日に呼吸不全のため再入院し,X+150日に死亡した.EBV-HLHは小児と若年成人での発症が多いとされるが,80歳代で発症した1例を経験した.本症例ではプレドニゾロン投与により一時的に寛解が得られた.高齢者のEBV-HLHは報告がなく,どのような治療が最適であるかは知られていないが,本症例からはプレドニゾロンによって症状緩和が得られる可能性がある.EBV-HLHであればステロイド投与で病勢を抑えられる可能性があるため,高齢者の多発リンパ節腫脹の診療では,EBV-HLHの可能性を念頭に置くことが重要である. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.56.525 |