非極性溶媒中におけるイオン会合を利用する低極性分子イオン化法

質量分析法では測定する分子,状況の違いに応じてこれらの中で最適なイオン化法を選択するのが一般的である.低極性分子に関しては現状の質量分析法で検出が難しい分子も多い.著者らは非常に広い汎用性を持つイオン化法の開発に取り組み,低極性物質の大部分をソフトにイオン化する方法を見いだした.この方法ではジクロロメタンのような非極性溶媒とカチオン化剤の使用が重要である.カチオンが非極性溶媒中においてルイス酸として測定試料と反応しイオン会合によってイオン対を形成するのが特徴である.本論文ではイオン化法開発の有用性とテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素カチオン[Cation(Li,Ag...

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Published in分析化学 Vol. 61; no. 6; pp. 555 - 560
Main Authors 伊永, 隆史, 高見澤, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2012
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.61.555

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Summary:質量分析法では測定する分子,状況の違いに応じてこれらの中で最適なイオン化法を選択するのが一般的である.低極性分子に関しては現状の質量分析法で検出が難しい分子も多い.著者らは非常に広い汎用性を持つイオン化法の開発に取り組み,低極性物質の大部分をソフトにイオン化する方法を見いだした.この方法ではジクロロメタンのような非極性溶媒とカチオン化剤の使用が重要である.カチオンが非極性溶媒中においてルイス酸として測定試料と反応しイオン会合によってイオン対を形成するのが特徴である.本論文ではイオン化法開発の有用性とテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素カチオン[Cation(Li,Ag)-TFPB]というカチオン化剤の使用によって測定された,いくつかの非極性分子・低極性分子の検出例を紹介する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.61.555