症例 急性心筋梗塞を合併したコレステロール塞栓症候群の1剖検例 .

症例は64歳男性.61歳時に下壁の心筋梗塞を発症した.平成元年9月うっ血性心不全を発症,同年11月某病院で心臓カテーテル検査を施行された.3枝病変のためCABGを勧められたが,本人の希望により内科的に経過観察されていた.平成2年1月12日,前壁中隔の急性心筋梗塞を発症し,当院CCUに緊急入院した.著明な腎機能低下を認めたため保存的治療(ウロキナーゼ96万単位静注)を行った.翌日より心不全・腎不全による肺水腫をきたしたため,CAVHを導入した.臨床所見は改善傾向にあったが,第5病日に心室細動をきたし心肺蘇生に反応なく死亡した.剖検では著名な大動脈の粥状硬化に加え,腎・肝・膵・脾に多数のコレステロ...

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Published in心臓 Vol. 24; no. 11; pp. 1283 - 1287
Main Authors 城, 忠文, 古谷, 敬三, 田村, 朗, 児玉, 光司, 本田, 俊雄, 土井内, 純治, 岡山, 英樹, 末次, 正治, 藤原, 靖子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1992
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.24.11_1283

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Summary:症例は64歳男性.61歳時に下壁の心筋梗塞を発症した.平成元年9月うっ血性心不全を発症,同年11月某病院で心臓カテーテル検査を施行された.3枝病変のためCABGを勧められたが,本人の希望により内科的に経過観察されていた.平成2年1月12日,前壁中隔の急性心筋梗塞を発症し,当院CCUに緊急入院した.著明な腎機能低下を認めたため保存的治療(ウロキナーゼ96万単位静注)を行った.翌日より心不全・腎不全による肺水腫をきたしたため,CAVHを導入した.臨床所見は改善傾向にあったが,第5病日に心室細動をきたし心肺蘇生に反応なく死亡した.剖検では著名な大動脈の粥状硬化に加え,腎・肝・膵・脾に多数のコレステロール結晶による塞栓を認め,脾では一部梗塞をきたしていた.従来コレステロール塞栓症候群の診断は下肢の虚血性皮膚病変が契機となるが,本症例のように腎不全のみを呈する場合もあり,誘因となる侵襲後の亜急性の腎不全は,本症を念頭においてあたるべきと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.24.11_1283