臨床 “非開心術”によるWPW症候群の外科治療(心外膜アプローチ法)の検討
1983年11月より1987年12月までに,24例のWPW症候群患者に心外膜アプローチ法により手術を行った.本法は,1)心外膜マッピングによりおおまかに同定された副伝導路部位の房室弁輪上脂肪織を,超音波組織破砕吸収装置を用いてていねいに剥離し,2)剥離部弁輪のマッピングにより副伝導路部位をピンポイントに同定,3)同部を心外膜側より凍結凝固するものである.同法によれば心臓への切開を必要とせず,通常人工心肺不要で侵襲が軽く,輸血も不要である.心内膜アプローチ法と異なり左心型であっても心拍動下に手術でき,δ 波の消失を確認しつつ硫実に副伝導路離断が果せる.24例中20例(83%)は外膜アプローチのみ...
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Published in | 心臓 Vol. 20; no. 12; pp. 1403 - 1413 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1988
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.20.12_1403 |
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Summary: | 1983年11月より1987年12月までに,24例のWPW症候群患者に心外膜アプローチ法により手術を行った.本法は,1)心外膜マッピングによりおおまかに同定された副伝導路部位の房室弁輪上脂肪織を,超音波組織破砕吸収装置を用いてていねいに剥離し,2)剥離部弁輪のマッピングにより副伝導路部位をピンポイントに同定,3)同部を心外膜側より凍結凝固するものである.同法によれば心臓への切開を必要とせず,通常人工心肺不要で侵襲が軽く,輸血も不要である.心内膜アプローチ法と異なり左心型であっても心拍動下に手術でき,δ 波の消失を確認しつつ硫実に副伝導路離断が果せる.24例中20例(83%)は外膜アプローチのみで副伝導路離断に成功した.内膜アプローチ法の併用例3例を含め23例(96%)でδ波,頻拍発作ともに消失,他1例ではδ波が残存したものの頻拍発作を認めない.内膜アプローチ併用の右後中隔型の1例で房室ブロックを合併したが,他では出血,術後肝炎,感染その他の主だった合併症をみていない.特に中隔型に対する手技および適応の判断,凍結温の設定にいまだ改良の余地があるものの,心外膜アプローチ法は成績良好で侵襲も軽く,試みるべき方法と考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.20.12_1403 |