HEART's Original [症例] 心膜炎兆候にて発症した右房原発血管肉腫の1例

症例は34歳,男性.微熱,背部痛を主訴に2005年10月近医を受診.心電図,心エコー所見より心膜炎を疑われ当院を紹介され入院した.保存的治療で改善し入院後19日目に退院.その後外来にて経過観察を行っていたが,2005年12月の胸部X線写真で右第1弓の突出が出現.CTおよび心エコーにて右房近傍に腫瘍を,また肺野に多発結節影を認めたため精査入院となった.心臓カテーテル検査では右冠動脈右内胸動脈より右房の腫瘍に栄養血管を認めた.多発性肺転移を伴う心臓原発腫瘍と判断し,胸腔鏡下肺切除術を行い血管肉腫と病理診断した.右房の原発巣への放射線照射を行い腫瘍の縮小を認め,化学療法目的に他院に転院した.その後も...

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Published in心臓 Vol. 39; no. 11; pp. 1008 - 1012
Main Authors 滝沢, 信一郎, 日下, 雅文, 上原, 良樹, 東, 吉志, 伊藤, 高史, 南井, 孝介, 徳田, 道史, 清水, 光行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2007
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Summary:症例は34歳,男性.微熱,背部痛を主訴に2005年10月近医を受診.心電図,心エコー所見より心膜炎を疑われ当院を紹介され入院した.保存的治療で改善し入院後19日目に退院.その後外来にて経過観察を行っていたが,2005年12月の胸部X線写真で右第1弓の突出が出現.CTおよび心エコーにて右房近傍に腫瘍を,また肺野に多発結節影を認めたため精査入院となった.心臓カテーテル検査では右冠動脈右内胸動脈より右房の腫瘍に栄養血管を認めた.多発性肺転移を伴う心臓原発腫瘍と判断し,胸腔鏡下肺切除術を行い血管肉腫と病理診断した.右房の原発巣への放射線照射を行い腫瘍の縮小を認め,化学療法目的に他院に転院した.その後も他院外来通院中であったが2006年5月胸水貯留による呼吸苦を主訴に当院受診.胸腔ドレナージなどを行ったが多臓器不全のため全経過約8カ月で永眠された.心膜炎徴候後約2カ月で明らかとなった右房原発血管肉腫の症例を経験した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.39.11_1008