症例 ステロイド長期内服中のSLE患者に発生した急性解離性大動脈瘤の1例

長期間ステロイド内服中のSLE患者に発症した急性解離性大動脈瘤の1例を報告する. 症例は21歳,女性.胸背部痛にて発症し,胸部X線,CT検査にて解離性大動脈瘤DeBakey III a型と診断された.患者はSLEの診断にて7年間,プレドニンを15~30mg/日内服していた.発症前の検査では高脂血症,低蛋白血症を呈し,臨床的には各種降圧剤内服下でも収縮期血圧は200mmHg前後を推移していた.腎生検にてdiffuse proliferativelupus nephritisの診断を受けており,高血圧は腎性のものと考えられた.ステロイドによる高脂血症,動脈硬化と,腎性の高血圧の両者の原因にて解離性...

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Published in心臓 Vol. 21; no. 10; pp. 1259 - 1262
Main Authors 林, 載鳳, 金広, 啓一, 末田, 泰二郎, 浜中, 喜晴, 石原, 浩, 松浦, 雄一郎, 山名, 征三, 村下, 純二, 塩田, 卓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1989
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Summary:長期間ステロイド内服中のSLE患者に発症した急性解離性大動脈瘤の1例を報告する. 症例は21歳,女性.胸背部痛にて発症し,胸部X線,CT検査にて解離性大動脈瘤DeBakey III a型と診断された.患者はSLEの診断にて7年間,プレドニンを15~30mg/日内服していた.発症前の検査では高脂血症,低蛋白血症を呈し,臨床的には各種降圧剤内服下でも収縮期血圧は200mmHg前後を推移していた.腎生検にてdiffuse proliferativelupus nephritisの診断を受けており,高血圧は腎性のものと考えられた.ステロイドによる高脂血症,動脈硬化と,腎性の高血圧の両者の原因にて解離性大動脈瘤が発症したものと考えられた. 積極的降圧療法を開始したが,発症11日目に意識障害が出現し,頭部CTにて前頭葉からの出血が認められた.一般の高血圧性脳出血の好発部位と異なっており,SLEによる血管炎もその原因の一翼を担っていると考えられた.発症後25日目に,ストレスによると思われる上部消化管出血にて死亡した. SLEに急性解離性大動脈瘤が合併した報告は本邦では見当たらない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.21.10_1259