ケナフを材料とした弱酸性型陽イオン交換体の合成とその銅(II)及び白金族金属イオン吸着特性

ケナフ中のセルロースを濃塩酸で加水分解し,生成した還元性末端基(アルデヒド基)を過マンガン酸カリウムで酸化することによってカルボキシル基を有する弱酸性型陽イオン交換体を得た.このイオン交換体の交換容量は2.80 Cu(II) meq g-1– Rと高く,吸着速度も速く30分以内で吸着平衡に達した.また,金属イオンの吸着はpH=2.5以上から始まり,従来のカルボキシル基型イオン交換体と比較し低pH領域からの吸着が認められた.カラム法を用いて本交換体に対する銅イオン及び白金族金属イオンの吸着挙動を調べたところ,銅(II),ルテニウム(III),ロジウム(III)及びパラジウム(II)は吸着するが,...

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Published in分析化学 Vol. 65; no. 1; pp. 33 - 38
Main Authors 鈴木, 将司, 宮内, 俊幸, 水野, 佑哉, 石川, 徳久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2016
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Summary:ケナフ中のセルロースを濃塩酸で加水分解し,生成した還元性末端基(アルデヒド基)を過マンガン酸カリウムで酸化することによってカルボキシル基を有する弱酸性型陽イオン交換体を得た.このイオン交換体の交換容量は2.80 Cu(II) meq g-1– Rと高く,吸着速度も速く30分以内で吸着平衡に達した.また,金属イオンの吸着はpH=2.5以上から始まり,従来のカルボキシル基型イオン交換体と比較し低pH領域からの吸着が認められた.カラム法を用いて本交換体に対する銅イオン及び白金族金属イオンの吸着挙動を調べたところ,銅(II),ルテニウム(III),ロジウム(III)及びパラジウム(II)は吸着するが,他の白金族金属イオン,すなわちイリジウム(III),オスニウム(IV)及び白金(IV)は吸着しない.また,カラム内に保持された白金族金属イオンは塩酸溶離液でCu(II) – Pd(II) – Ru(III)及びCu(II) – Rh(III) – Ru(III)の三元分離ができた.さらにノートパソコン基板を王水処理し,その中に存在する銅(II)及び白金族金属イオンの回収について検討した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.65.33