臨床 虚血性心疾患を生じ,A-Cバイパス術を施行した4兄弟姉妹例

虚血性心疾患を生じ,A-Cバイパス術を施行した4兄弟例を報告する.症例1は60歳,女.3枝疾患の狭心症例で左心機能良好にて手術を施行した.症例2は55歳,男.やはり3枝疾患の狭心症例で,多枝バイパス術を施行した.症例3は68歳,女,症例4は53歳,女で,ともに下壁梗塞と前下行枝病変があり,バイパス手術を施行した.ほかに父親と2人の兄が突然死しており,またほかの1兄弟は,A型WPW症候群と下壁誘導に異常Q波を認める心電図異常をもち死亡している. これらの例におけるリスクファクターとしては,(1)比較的に女性が多く,(2)肥満2例,(3)軽症高血圧1例,(4)喫煙2例,(5)低HDL血症3例,(6...

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Published in心臓 Vol. 16; no. 11; pp. 1132 - 1138
Main Authors 原田, 道則, 日浅, 芳一, 前田, 利裕, 石田, 孝敏, 相原, 令, 坂東, 正章, 中井, 義広, 片岡, 善彦, 森, 博愛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1984
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Summary:虚血性心疾患を生じ,A-Cバイパス術を施行した4兄弟例を報告する.症例1は60歳,女.3枝疾患の狭心症例で左心機能良好にて手術を施行した.症例2は55歳,男.やはり3枝疾患の狭心症例で,多枝バイパス術を施行した.症例3は68歳,女,症例4は53歳,女で,ともに下壁梗塞と前下行枝病変があり,バイパス手術を施行した.ほかに父親と2人の兄が突然死しており,またほかの1兄弟は,A型WPW症候群と下壁誘導に異常Q波を認める心電図異常をもち死亡している. これらの例におけるリスクファクターとしては,(1)比較的に女性が多く,(2)肥満2例,(3)軽症高血圧1例,(4)喫煙2例,(5)低HDL血症3例,(6)高尿酸血症1例で4兄弟に共通した危険因子はなく,虚血性心疾患の発症に父親を発端者とする遺伝的素因が強く疑われた.わが国ではこのような家系の報告はみられず,遺伝因子が虚血性心疾患の成因に強く関与している興味ある症例と思われたので報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.16.11_1132