症例 左肺静脈狭窄を伴った三尖弁閉鎖の1例

先天性肺静脈狭窄は無脾症などを除いて,きわめてまれな疾患であり,本邦では報告例は5例と少ない.今回,三尖弁閉鎖に合併した左肺静脈狭窄の1例を経験した.症例の男児は,生後2カ月時に三尖弁閉鎖(I-b)の診断により,Rashkind手技による心房中隔欠損作成術(BAS)施行後modified Blalock-Taussig手術(m-BT)を施行した.その後呼吸器感染を繰り返し,生後8カ月頃から症状がさらに増悪し,再入院した.生後10カ月頃から左肺野の間質性肺炎を思わせるびまん性陰影が出現し,人工呼吸管理を必要とした.心臓カテーテル検査および造影検査で,心房中隔欠損孔の狭小化,m-BT shunt狭...

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Published in心臓 Vol. 22; no. 11; pp. 1297 - 1302
Main Authors 野口, 保蔵, 内藤, 泰顕, 藤原, 慶一, 東上, 震一, 高垣, 有作, 後藤, 融平, 根来, 博之, 鈴木, 啓之, 上村, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1990
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Summary:先天性肺静脈狭窄は無脾症などを除いて,きわめてまれな疾患であり,本邦では報告例は5例と少ない.今回,三尖弁閉鎖に合併した左肺静脈狭窄の1例を経験した.症例の男児は,生後2カ月時に三尖弁閉鎖(I-b)の診断により,Rashkind手技による心房中隔欠損作成術(BAS)施行後modified Blalock-Taussig手術(m-BT)を施行した.その後呼吸器感染を繰り返し,生後8カ月頃から症状がさらに増悪し,再入院した.生後10カ月頃から左肺野の間質性肺炎を思わせるびまん性陰影が出現し,人工呼吸管理を必要とした.心臓カテーテル検査および造影検査で,心房中隔欠損孔の狭小化,m-BT shunt狭窄および左肺動脈狭窄と診断し,1歳時心房中隔欠損孔および左肺動脈の拡大手術およびCentral shunt手術を行った.術後,左肺野のうっ血が増強し失った.剖検では左肺静脈の左房流入部での狭窄が認められた.本例のごとく,肺血流量の低下を伴う症例で,肺血流量増加後,呼吸器感染症を繰り返す場合には,本合併症も十分考慮に入れ早期診断と適切な外科治療を行うことが重要であろうと思われる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.22.11_1297