症例 術後9年で広範な骨転移を認めた悪性褐色細胞腫の1例

褐色細胞腫摘出後9年目に,広範な骨転移を確認した悪性例を報告し,文献的考察を加えた.症例:39歳,男性.昭和49年右副腎性褐色細胞腫を摘出.58年5月より頭痛,動悸などが出没し,高血圧と血漿カテコールアミン(CA)濃度の異常高値から褐色細胞腫の再発を疑診された.当科入院時,発汗と背部痛が認められ,血圧は162/102mmHg,尿中CA,血漿CAおよび尿中VMA排泄量が異常高値を示し,腹部CTで右腎門部に腫瘍陰影が確認された.大静脈カテーテル検査で広範囲な血漿CA濃度のピークが認められ,転移性の腫瘍が示唆された.X線検査,CTで頸,胸,腰椎,肋骨に骨融解像が認められ,骨シンチ,131I-MIBG...

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Published in心臓 Vol. 17; no. 10; pp. 1095 - 1100
Main Authors 野城, 孝夫, 三浦, 幸雄, 木村, 忍, 鳥谷部, 俊一, 大橋, 弘文, 石塚, 由紀, 菅原, 隆, 高橋, 正樹, 佐野, 直樹, 渡辺, 裕志, 吉永, 馨, 中村, 護
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1985
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Summary:褐色細胞腫摘出後9年目に,広範な骨転移を確認した悪性例を報告し,文献的考察を加えた.症例:39歳,男性.昭和49年右副腎性褐色細胞腫を摘出.58年5月より頭痛,動悸などが出没し,高血圧と血漿カテコールアミン(CA)濃度の異常高値から褐色細胞腫の再発を疑診された.当科入院時,発汗と背部痛が認められ,血圧は162/102mmHg,尿中CA,血漿CAおよび尿中VMA排泄量が異常高値を示し,腹部CTで右腎門部に腫瘍陰影が確認された.大静脈カテーテル検査で広範囲な血漿CA濃度のピークが認められ,転移性の腫瘍が示唆された.X線検査,CTで頸,胸,腰椎,肋骨に骨融解像が認められ,骨シンチ,131I-MIBGシンチで,融解部分に-致した異常集積像が認められ,褐色細胞腫の骨転移と診断された.悪性褐色細胞腫の再燃までの期間は一般に長く,本腫瘍の摘出後には長期間のfollow upが必要と考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.17.10_1095