症例 経皮的冠動脈形成術(PTCA)中に生じた急性冠閉塞において大動脈内バルーンパンピング(IABP)で再開通が得られた2症例

症例1は64歳,男性,労作時息切れ,胸部不快感,動悸を訴え,昭和63年5月検査入院.冠動脈造影で有意狭窄を認めるが,内科的治療により症状軽快したため経過観察とした.平成元年3月より,再び胸痛自覚し,頻回となり精査治療入院とし,冠動脈造影上狭窄の進展を認め,後日PTCAを施行した. PTCA後,急性冠閉塞を起こしたためIABPを挿入.IABP治療後3日目の確認造影では,再開通が示された. 症例2は57歳,男性,平成元年12月21日午前6時,就寝中,前胸部痛自覚,安静にても改善せず,胸痛増強したため当院救急外来受診.心電図により急性広範囲前壁梗塞疑い,ウロキナーゼ96万単位を点滴静注するが,改善せ...

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Published in心臓 Vol. 23; no. 12; pp. 1372 - 1378
Main Authors 石川, 直樹, 平松, 慎右, 木川田, 隆一, 永井, 順, 村松, 準
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1991
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.23.12_1372

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Summary:症例1は64歳,男性,労作時息切れ,胸部不快感,動悸を訴え,昭和63年5月検査入院.冠動脈造影で有意狭窄を認めるが,内科的治療により症状軽快したため経過観察とした.平成元年3月より,再び胸痛自覚し,頻回となり精査治療入院とし,冠動脈造影上狭窄の進展を認め,後日PTCAを施行した. PTCA後,急性冠閉塞を起こしたためIABPを挿入.IABP治療後3日目の確認造影では,再開通が示された. 症例2は57歳,男性,平成元年12月21日午前6時,就寝中,前胸部痛自覚,安静にても改善せず,胸痛増強したため当院救急外来受診.心電図により急性広範囲前壁梗塞疑い,ウロキナーゼ96万単位を点滴静注するが,改善せず緊急冠動脈造影を施行した.前下行枝の完全閉塞に対し,緊急PTCA施行し,いったん再開通を得るが,再度急性冠閉塞を認め,IABPを挿入.再PTCAにても改善せずCCUにて経過観察とした.4日後の確認造影では一部再開通が示された. PTCA中,または直後の急性冠閉塞に対しては,確固たる手段はなく,再PTCAが第1選択となっている.心筋梗塞急性期の緊急PTCA,慢性期の待期的PTCAの際の急性冠閉塞に対し,IABP治療が有用と思われた2症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.23.12_1372