HEART's Original [症例] 陳旧性心筋梗塞の経過観察中に合併した多発性乳頭状線維弾性腫の1例

症例は59歳,男性.心筋梗塞の既往歴があり,心臓超音波検査で左室内に可動性を有する約9mm大の球形の腫瘤像を認めた.経食道心臓超音波検査で僧帽弁前尖前交連側の腱索に付着した双球状の腫瘤と,僧帽弁後尖後交連に約7mm大の球状の腫瘤を認めた.左室内僧帽弁に発生し腱索に付着していることより乳頭状線維弾性腫が疑われた.塞栓症や突然死などの合併症をひき起こす可能性があり心臓血管外科にて腫瘤摘出術を施行した.左室内には合計6個の腫瘤が確認された.一部,弁尖,腱索からの分離が困難であったため僧帽弁置換術を行った.病理組織検査の結果,乳頭状線維弾性腫と診断した.陳旧性心筋梗塞の経過観察中に腫瘤が発見された報告...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 10; pp. 1045 - 1048
Main Authors 諸井, 雅男, 鈴木, 真事, 杉, 薫, 中里, 良, 高橋, 啓, 西澤, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.38.10_1045

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Summary:症例は59歳,男性.心筋梗塞の既往歴があり,心臓超音波検査で左室内に可動性を有する約9mm大の球形の腫瘤像を認めた.経食道心臓超音波検査で僧帽弁前尖前交連側の腱索に付着した双球状の腫瘤と,僧帽弁後尖後交連に約7mm大の球状の腫瘤を認めた.左室内僧帽弁に発生し腱索に付着していることより乳頭状線維弾性腫が疑われた.塞栓症や突然死などの合併症をひき起こす可能性があり心臓血管外科にて腫瘤摘出術を施行した.左室内には合計6個の腫瘤が確認された.一部,弁尖,腱索からの分離が困難であったため僧帽弁置換術を行った.病理組織検査の結果,乳頭状線維弾性腫と診断した.陳旧性心筋梗塞の経過観察中に腫瘤が発見された報告は稀であり,左室内に多発する球形の乳頭状線維弾性腫を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.10_1045