症例 先天性大動脈閉鎖不全症の乳児へ左室心尖-大動脈バイパス手術を行った1例

大動脈-左室トンネルの診断を受けていた5800g,10カ月の男児が,左無気肺,心不全をきたし緊急入院し,超低体温循環遮断下に開心術を施行した.術中所見は大動脈交連部で大動脈壁より離開した特殊な形の大動脈閉鎖不全症であり,膜性部中隔瘤も認められた.弁交連をフェルト付針糸で大動脈壁に縫着し中隔瘤を切除した.術後消失した大動脈逆流音が再び聴取されるようになり,1週間後再手術を行った.縫着した大動脈弁は完全に離開してあり,大動脈弁輪が14mmと小さく弁置換は行えなかったので,大動脈弁口をパッチで閉鎖したのち14mmのハンコック弁付人工血管による左室心尖-大動脈間の左室流出路形成を行ったが低心拍出症で失...

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Published in心臓 Vol. 12; no. 12; pp. 1434 - 1439
Main Authors 山里, 有男, 伴, 敏彦, 安永, 敏美, 坂田, 隆造, 西脇, 登, 広瀬, 瑞夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1980
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Summary:大動脈-左室トンネルの診断を受けていた5800g,10カ月の男児が,左無気肺,心不全をきたし緊急入院し,超低体温循環遮断下に開心術を施行した.術中所見は大動脈交連部で大動脈壁より離開した特殊な形の大動脈閉鎖不全症であり,膜性部中隔瘤も認められた.弁交連をフェルト付針糸で大動脈壁に縫着し中隔瘤を切除した.術後消失した大動脈逆流音が再び聴取されるようになり,1週間後再手術を行った.縫着した大動脈弁は完全に離開してあり,大動脈弁輪が14mmと小さく弁置換は行えなかったので,大動脈弁口をパッチで閉鎖したのち14mmのハンコック弁付人工血管による左室心尖-大動脈間の左室流出路形成を行ったが低心拍出症で失なった. 左室心尖-大動脈バイパス手術はその手技も容易であり,先天性大動脈狭窄症や弁輪にまで強度の石灰化をきたした大動脈狭窄症などにも本手術法は有用であると考える.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.12.12_1434