後天性フォンウィルブランド病を合併した大動脈弁狭窄症(ハイド症候群)に対するtranscatheter aortic valve implantation (TAVI) 治療
高齢化に拍車がかかっている我が国では,日常診療においてしばしば大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis; AS) に遭遇する. 本邦では2013年10月に経カテーテル的大動脈弁植え込み術(transcatheter aortic valve implantation; TAVI)が導入され,当院では2014年6月よりTAVIを開始し,現在までに46症例の治療が行われた. 一方で,ASに消化管出血を合併するハイド症候群が比較的多く存在していることはあまり知られていない.ハイド症候群はASに合併した消化管出血で,すでに1958年にハイド医師がNew England Journal...
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Published in | 天理医学紀要 Vol. 20; no. 2; pp. 107 - 113 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
2017
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Subjects | |
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ISSN | 1344-1817 2187-2244 |
DOI | 10.12936/tenrikiyo.20-010 |
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Summary: | 高齢化に拍車がかかっている我が国では,日常診療においてしばしば大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis; AS) に遭遇する. 本邦では2013年10月に経カテーテル的大動脈弁植え込み術(transcatheter aortic valve implantation; TAVI)が導入され,当院では2014年6月よりTAVIを開始し,現在までに46症例の治療が行われた. 一方で,ASに消化管出血を合併するハイド症候群が比較的多く存在していることはあまり知られていない.ハイド症候群はASに合併した消化管出血で,すでに1958年にハイド医師がNew England Journal Medicine誌に10例報告している.その後の研究により,この貧血の原因は消化管粘膜に形成された消化管血管異形性(angiodysplasia) と後天性フォンウィルブランド病(フォンウィルブランド因子の高分子マルチマーの欠如)を併発していることによる消化管出血であると報告された.この病態は大動脈弁置換術によって完全に回復することが多く,最近ではTAVIにより改善した症例も報告されている. 今回は,2016年6月までに当院で施行されたTAVI36 症例の初期成績を報告し,また,我々が経験したTAVI治療によってフォンウィルブランド高分子マルチマーの改善を認めたハイド症候群の症例提示を行う. |
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ISSN: | 1344-1817 2187-2244 |
DOI: | 10.12936/tenrikiyo.20-010 |