研究会 心筋症ハムスターにおける心筋1 , 2 - ジアシルグリセロール量とその脂肪酸組成
1,2一ジアシルグリセロール(DG)は,細胞内のメッセンジャーとして重要であると考えられているので,BIO14. 6シリアンハムスターの心不全の進展過程におけるこの物質の心筋内含有量とその脂肪酸組成をゴールデンハムスターを対照群として他の脂質と対比させて検討した.主なリン脂質は心不全が著明になる前の90日齢ですでに少なく,心不全の進展とともにその差はあまり変動しなかった.またトリグリセリドは,対照群で加齢とともに顕著に上昇したが,BIO14.6ではその上昇が少なかった.1,2-DGは90日齢では差が認められなかったが,160日齢,240日齢で対照群と比べ各々21%,51%有意に少なかった.24...
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Published in | 心臓 Vol. 23; no. 10; pp. 1112 - 1116 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1991
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Subjects | |
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Summary: | 1,2一ジアシルグリセロール(DG)は,細胞内のメッセンジャーとして重要であると考えられているので,BIO14. 6シリアンハムスターの心不全の進展過程におけるこの物質の心筋内含有量とその脂肪酸組成をゴールデンハムスターを対照群として他の脂質と対比させて検討した.主なリン脂質は心不全が著明になる前の90日齢ですでに少なく,心不全の進展とともにその差はあまり変動しなかった.またトリグリセリドは,対照群で加齢とともに顕著に上昇したが,BIO14.6ではその上昇が少なかった.1,2-DGは90日齢では差が認められなかったが,160日齢,240日齢で対照群と比べ各々21%,51%有意に少なかった.240日齢の1,2-DGの脂肪酸組成は対照群と相違していたが,その違いはトリグリセリドの脂肪酸組成の両群間の差と似ていた.以上より,不全心に認められた1,2-DGの減少は,心不全の病態に関与することが示唆された. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.23.10_1112 |