症例 MRIで大量の鉄沈着が診断され,病理組織学的にGamna-Gandy結節様病変が検出された左房粘液腫の1例

72歳,女性.脳梗塞で入院.心エコー図で左房内に可動性の腫瘤,心血管造影で右冠状動脈より栄養血管,造影剤による腫瘍濃染を認めた.腫瘍はMRI,SE法で4×4cm,周辺部は筋肉と同信号,内部に蜂窩状の高信号があり,FE法では無信号に近い低信号を示した.ヘモジデリン沈着を伴った粘液腫と診断された.手術による摘出腫瘍は4.0×4.5×3.5cm大,褐色蜂窩状の割面を呈した.粘液腫特有の組織像の一部に著しいヘモジデリンの沈着および石灰化を認め,顆粒状,星雲状のGamna-Gandy結節様病変を認めた.Gamna-Gandy結節は門脈圧充進時のうっ血脾内小出血後のヘモジデリン沈着を本態とする脾柱内小結節...

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Published in心臓 Vol. 25; no. 10; pp. 1228 - 1232
Main Authors 桜井, 秀彦, 高沢, 賢次, 細田, 泰之, 岡田, 了三, 渡部, 幹夫, 山口, 洋, 和田, 明珠, 安田, 正之, 河野, 浩章, 佐藤, 裕之, 高谷, 純司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.10_1228

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Summary:72歳,女性.脳梗塞で入院.心エコー図で左房内に可動性の腫瘤,心血管造影で右冠状動脈より栄養血管,造影剤による腫瘍濃染を認めた.腫瘍はMRI,SE法で4×4cm,周辺部は筋肉と同信号,内部に蜂窩状の高信号があり,FE法では無信号に近い低信号を示した.ヘモジデリン沈着を伴った粘液腫と診断された.手術による摘出腫瘍は4.0×4.5×3.5cm大,褐色蜂窩状の割面を呈した.粘液腫特有の組織像の一部に著しいヘモジデリンの沈着および石灰化を認め,顆粒状,星雲状のGamna-Gandy結節様病変を認めた.Gamna-Gandy結節は門脈圧充進時のうっ血脾内小出血後のヘモジデリン沈着を本態とする脾柱内小結節であるが,本例は血流による機械的刺激等が誘発した粘液腫内小出血に続発した類似病変とみなされた.MRI画像上,鉄沈着の診断が容易になり,今後粘液腫の病態評価の上で役立つ所見と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.10_1228