Computed Tomogrophy による腎細胞癌の Staging 診断

1979年1月から1980年3月までの15カ月間に, 慈恵大学病院で診療した腎細胞癌20例について, CTによる staging の診断を行つた. 20例中, stage 1は5例, stage 2は4例, stage 3Aは3例, stage 3Bは2例, stage 3Cは1例, stage 4Aは1例, stage 4Bは4例であつた. CTで腫瘍が腎被膜内に限局していると診断した5例の所見は, 腎輪郭の突出はないか, あつてもその表面は平滑であつた. これに対し, 腫瘍の輪郭の不整, 腎周囲脂肪織の不鮮明および腎筋膜の肥厚がみられた4例は, stage 2と診断した. CTで腎静脈や下...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 1 - 9
Main Authors 陳, 瑞昌, 荒井, 由和, 仲田, 浄次郎, 小路, 良, 大西, 哲郎, 増田, 富士男, 佐々木, 忠正, 東, 陽一郎, 町田, 豊平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1981
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.72.1_1

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Summary:1979年1月から1980年3月までの15カ月間に, 慈恵大学病院で診療した腎細胞癌20例について, CTによる staging の診断を行つた. 20例中, stage 1は5例, stage 2は4例, stage 3Aは3例, stage 3Bは2例, stage 3Cは1例, stage 4Aは1例, stage 4Bは4例であつた. CTで腫瘍が腎被膜内に限局していると診断した5例の所見は, 腎輪郭の突出はないか, あつてもその表面は平滑であつた. これに対し, 腫瘍の輪郭の不整, 腎周囲脂肪織の不鮮明および腎筋膜の肥厚がみられた4例は, stage 2と診断した. CTで腎静脈や下大静脈に腫瘍が浸潤していると診断したものは5例で, その所見は静脈の拡張および充満欠損であつた. 局所リンパ節の転移による腫大は5例にみられ, 腫瘍が腎筋膜をこえて隣接臓器に浸潤していると診断したものは2例であつた. さらにご肝および腰椎への転移が各1例にみられた. 20例中19例は手術および剖検所見と比較検討したが, 19例中16例 (84%) はCTによる staging 診断が正しいことがたしかめられた. 腫瘍の腎被膜外への浸潤を診断できなかつた1例, 静脈内浸潤の評価を誤つた2例の計3例は, CTの staging 診断が間違つていた. 以上より, CTは腎細胞癌の staging を容易に且つ確実に診断することが可能であり, 治療方針を決定するうえでの有用な情報を与えることができる.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.72.1_1