症例 カテーテル焼灼不成功例に外科的副伝導路切断術を行い根治しえた1例

直流通電によるカテーテル焼灼が試みられたが不成功に終わった20歳女性に対し手術による副伝導路切断術を行った.術中左房心内膜にクレーター状の組織欠損が認められた.心内膜アプローチによる心房筋の切開を開始するも,弁輪部周辺は瘢痕となり通常の心外膜下脂肪の剥離,心房筋の露出が困難なため心内膜側ならびに心外膜側からの冷凍凝固が必要であった.術後6カ月を経た現在心電図でデルタ波を認めず,抗不整脈剤で頻拍は生じていない.カテーテル焼灼をする際はかかる症例が生ずることもあるため,治療の限界をどこにおくかを決めることが重要である.また焼灼後は新たな病変が形成されるため,通常の心内膜アプローチで難渋する場合もあ...

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Published in心臓 Vol. 24; no. 10; pp. 1205 - 1210
Main Authors 渡辺, 洋宇, 松本, 康, 大竹, 裕志, 岩, 喬, 三崎, 拓郎, 廣江, 道昭, 松永, 康弘, 坪田, 誠, 野上, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1992
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.24.10_1205

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Summary:直流通電によるカテーテル焼灼が試みられたが不成功に終わった20歳女性に対し手術による副伝導路切断術を行った.術中左房心内膜にクレーター状の組織欠損が認められた.心内膜アプローチによる心房筋の切開を開始するも,弁輪部周辺は瘢痕となり通常の心外膜下脂肪の剥離,心房筋の露出が困難なため心内膜側ならびに心外膜側からの冷凍凝固が必要であった.術後6カ月を経た現在心電図でデルタ波を認めず,抗不整脈剤で頻拍は生じていない.カテーテル焼灼をする際はかかる症例が生ずることもあるため,治療の限界をどこにおくかを決めることが重要である.また焼灼後は新たな病変が形成されるため,通常の心内膜アプローチで難渋する場合もありうることを念頭におき臨む必要がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.24.10_1205